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第九章第三話
青年は30台前半、一ヶ月ぐらい前にこの世界へタイムスリップしてきた、と言った。しかし、それよりも私を戸惑わせたのは、彼が元いた世界は、西暦が1999年だということだった。そこは私が元いた世界とは違う世界なのか。私は混乱した。 青年は聞いてもいないのに、自分が元いた世界のことを猛然と話はじめた。「例の人類は滅亡する、という予言が現実味を帯びてきたのです。天候が不順で、世界各地で自然災害が起きて、それに伴い、大国同士の戦争の危機も高まってきたのです。」何だかきな臭い臭いのする世界だが、私の元いた世界も大して変わりはなかった。いや、同じ世界かもしれなかった。