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第八章第五話
ある夜、一本の電話がかかってきた。電話はあの家の近所に住むミクからだった。若い私は、久しぶりの女の子からの電話だった。しかし、電話の内容は色っぽいものではなかった。少し気落ちした若い私にミクはまた連絡すると言って電話を切った。 ミクからは間をおかずに次の日の夜に電話があった。電話内容は、今度、高校の先輩のバイクの後ろに乗せてもらうので、ヘルメットを持っていたら貸してほしいという頼みだった。若い私は、貸してやるから、いつでも取りに来いと答えた。近日中に取りに来ることになった。なんとなく聞きそびれたが、同じ中学のミクと付き合っているはずの彼氏はどうしたのだろう。会った時に聞いてみるかと思いながら、眠りについた。