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第八章第四話
新しい年になっても、何も面白いことは起こらなかった。若い私はひたすらバイトに励んだが、時給400円では、原付と言えども、なかなかそれが買えるぐらい貯めるのは、しんどかった。しかし、17歳というのは中途半端な年頃で、若い私は、訳もなく、いつもイライラしていた。意味もなく、悔しかった。
毎日、安い時給で気が遠くなるほど沢山働いたお陰で、なんとか原付バイクを買えるぐらいお金が貯まった。あと一歩のところで彼女もできず寂しい高校生には、バイトで汗を流し、原付を転がすのが似合っていた。
そんなある日、ちょっとした出来事があった。