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第六章第三話
修学旅行の停学も明けて、季節は足早に移って行った。
修学旅行の停学も明けて、季節は移り行くスピードを早めた。すっかり夏の気配は無くなり、秋も深まり、冬のような寒さも訪れるようになった。そして、あの人生最大の危機が訪れる。 バイト代を貯めて、若い私は、中古のバイクを買おうとしていた。学校の帰り道にあるバイクショップで目当てのバイクを眺める事が、この頃の日課の様になっていた。
社会に出てからは、欲しい物で自分の手が届きそうな物は、借金してすぐにローンで買った。俺は時間を買うんだ、と、屁理屈をこねて、我慢しないで買い物をした。
しかし、この頃の若い私は、ローンなど組めるわけがなく、ひたすらバイトに励むしかなかった。そして、やっとバイクを買えるくらいのお金が貯まった。