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第五章第十二話
体育教師のビンタの嵐は執拗に続いた。
ビンタの嵐は執拗に続いた。体育教師は「お前ら、もう学校やめちまえ。」と人の一生を左右するような事を軽々しく口にした。その口車に乗れば、ビンタの嵐は止むことはわかっていたが、へたれの若い私はその言葉に同意しなかった。中退する勇気などなかった。「お前なんか、絶対に大学なんて行けねぇよ。」この一言が若い私の心に火をつけ、若い私を進学へと駆り立てることになった。 少し折檻が止んで、周りを見渡す余裕ができた。正面の部屋の玄関付近の廊下を見ると、同じように煙草で捕まったと思われる男達が正座して殴られていた。この狂気に満ちた折檻はいろいろと殴る人が代わりながら明け方近くまで続いた。