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第五章第五話
修学旅行初日の朝は、快晴だった。
修学旅行初日の朝は快晴だった。私達は新幹線に乗り込み、若い私はのぶひでと同じ座席に座った。ここまでは私の記憶どおりだ。しかし決定的に違っていることがあった。私の記憶どおりであれば、若い私は修学旅行前日に行きつけの床屋でキツイパーマをかけたはずである。しかし、この世界の若い私は、パーマなどかけずに旅行に向かった。細かい事だが、微妙に違っているのである。
新幹線の中で、私は若い私とのぶひでが見える席に座った。二人は大して意味がない会話をしているようだ。のぶひでも床屋に行ったばかりのようで、パーマがばっちりかかっている。当時の高校の校則では、パーマは禁止だった。しかし、ダメと言われるとやりたくなるのが、この年頃である。今考えると、あまり格好良いとは思えないが。新幹線は京都に到着しようとしていた。