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第五章第一話
ミクとは何事もなく終わった。淡い期待だけを抱かせて。
ミクとは何もなく終わった。あっさりとそそくさと帰っていった。若い私に淡い期待だけ抱かせて。
高二の夏休みも過ぎ去ろうとしていた。そんなある日、俊ちゃんから電話があった。俊ちゃんとは、進路の違いから、理系に進んだ俊ちゃんとは、クラス替え当初は疎遠になっていたが、この頃、また仲良くしていた。
「明日暇だったら、S海岸へ泳ぎに行かねぇ?」ミーコとの一件以来、大して面白いことがなかった若い私は、「おぉ、行くよ。」と即答した。女の子はいそうもなかったが、これが私に似合いの夏休みの感じがした。




