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第四章第九話
若い私は一大決心をしたようだった。
若い私は、何かを決意したようだった。ミクと七見との間で揺れ動いていたようだったが、自分がこれから取るべき行動に踏ん切りがついたようである。若い私は、ミクを抱き寄せようとした。 「ただいま。」母の声が、玄関から聞こえてきた。どうやら、この件は私の記憶どおりになりそうだった。 階下から母が「誰か来てるの?」昔から、絶妙なタイミングで現れる母であった。ミクは母に「ミクです。お邪魔してます。」ミクはそつなく、母に挨拶した。「夏休みの宿題で、わからない所があるっていうから教えてたんだよ。」若い私は言い訳めいて答えていた。「なんか邪魔しちゃってごめんなさい。」母はそう言いながら、出ていった。本当に邪魔だった。