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第四章第七話
ミクからの突然の電話に私は激しく動揺した。
ミクは私の家から歩いて5分位の近所に住んでいた。小学校を卒業したころ、街中から越してきた。可愛い子だな、と思っていたが、それだけだった。それにミクは私と同じ中学から同じ高校に進んだ七見と付き合っているはずだった。若い私はかなり混乱していた。 ミクがやって来た。ホットパンツと半袖ブラウスという軽装だった。「夏休みの宿題でわからない所があるから、教えて?」ミクは首を傾げて言った。今、考えるとミクは明らかに誘っていたのだ。しかし、唐変木の若い私は、ミクの突然の訪問に戸惑いながら、自室に案内し、勉強を教えている。哀れな奴よ。