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第四章第五話
このラーメン屋は叔母の家の近くにあり、幼い頃から店の雰囲気なども良く知っていた。
このラーメン屋は、叔母の家の近くにあり、店の主人も昔から知っており、店の雰囲気も知っていた。そんなところも長続きした秘訣だったかもしれない。しかし、自転車での出前は辛かった。特に大家族の家への日曜の夜の出前はキツかった。そんな中で、ある建設会社の社長の家は、必ずチップをくれたので、嬉しかった。バブル崩壊で、その家ももうない。悲しいが。
そんなバイトに明け暮れた高二の夏休みだったが、出会いのチャンスが、まったく無かった訳ではなかった。この世界が私の高二時代と酷似しているなら、あの出来事があるはずだった。あの魅惑的な出来事が。