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第四章第四話
「のぶひで君から電話だよ。」階下から母の声で若い私は目を覚ました。
「のぶひで君から電話だよ。」階下から母が呼ぶ声で若い私は目を覚ました。「ひでぇ目にあったみてぇだな?」どこか含み笑いをしているような声が聞こえてきた。「めちゃくちゃに殴られたよ。」若い私は不貞腐れて応えた。私も若い私に同化して、のぶひでの話を聞いた。「ちーにミーコから電話があった。ミーコはおまえに悪いことをしたと泣きじゃくっていたらしいぞ。」若い私は唇を噛んで、悔しさを堪えるしかなかった。 結局、ミーコとはその事が原因で二度と会うことはなかった。辛い高二の夏休みのスタートだった。のぶひでも何となくばつが悪いのか、あれからは連絡が無かった。毎日やることがないので、ラーメン屋の出前のバイトに精を出した。時給は400円、夕方5時から夜22時過ぎまで働いた。このバイトは高一の夏から高三の夏までやった。時給は安いが、何故か長く続いた。