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第一章第二話
退院の日の朝がやって来た。弟の車の窓から見る外の景色は、懐かしさよりも、私の不安を募らせた。
あれだけ待ち焦がれた退院の時は淡々と過ぎた。退院後の生活の注意点を聞いて、4ヶ月半も過ごした病院を後にした。
迎えに来てくれた弟の車の中から見た景色は、私の不安など、意に介さないかのように晴れ渡っていた。
久しぶりに自宅に腰を落ち着けた私は、世間的には圧倒的に弱者であることを実感した。誰かの介助がないと家の中でも、一メートル先にも移動できないのだ。何故、こんな身体になってしまったのか?家から外へ出れないので、私はそんなことばかり、考えて、気持ちはどんどん沈んでいった。