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第二章第五話
白い粉末は良く見ると透明な結晶状になっていた。
白い粉末は、良く見ると小さな透明な結晶の集まりだった。「それを吸ったら、すげぇいい気持ちになるぜ。ただし、当然お前も捕まったら同罪な。」なぜか勝ち誇ったような表情で、のぶひでは若い私を見下ろしていた。憎たらしいやつだった。若い私は、迷った揚げ句に「誰にも言わねえから、俺にもくれ。」ビビりながら、怪しげな粉末をもらい、煙草の吸い口に結晶を埋め込んで、火で炙ってフィルターに溶かした。若い私は意を決して、煙草を深々と吸い込んだ。