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第二章第四話
誰かが階段を上ってくる足音が聞こえた。のぶひでの鼻づまりの声が聞こえてきた。
誰かが階段を上がってきた。のぶひでと若い私だった。「絶対、誰にも言うなよ!」懐かしい、鼻づまりののぶひでの声だった。「わかってるよ。しつけーな。」何やら、好きな女の子といちゃついた話らしい。相変わらず、存在自体が軽い男だった。
のぶひでは煙草に火をつけて、深々と吸った。若い私もテーブルの上のセブンスターをくわえて、吸い始めた。のぶひでが怪しげな粉末を取りだし、煙草の吸い口に塗り込み、吸い始めた。「おぉー、きたきた。強烈だぜ。おれの中学の先輩が誰にも言うなよ、て、くれたんだ。おまえもやるか?」挑発的な口調で問いかけてきた。