12/87
第二章第二話
若い私は口笛を吹きながら、何やら機嫌良さげに、階段を上がってきた。
若い私は、口笛を吹きながら、なんだかご機嫌だった。夜になって、電話がかかってきた。どうやら、話の相手はのぶひでらしかった。「おう、じゃあ、明日、学校の帰りにお前の家にいけばいいんだな。お前と一緒に帰ればいいんだな。わかってる。誰にも言わずにいるよ。」これは、私の記憶どおりなら、ろくでもない出来事の始まりだった。 私の記憶どおりなら、この、のぶひでという男はどうしようもない奴だった。救いようがないという言葉は、彼の為にあった。私は、どこでもドアで母校に行けないことを悔やんだ。しかし、午後の下校時間を過ぎたころ、部屋の壁にどこでもドアが現れた。ドアをくぐると、小汚ない部屋に出た。