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百夜の刹那と白夜の追憶

 永遠から解放された。そんな気がした1月1日14:25/......ほっとした。安堵した。やっと帰ってこれたんだ。

 熱情が染めあげた桃色の布は、彼女をふわりと包みこみながら、おかえりと伝えてきた。

 

 永遠かのように夢見ていた永遠をちぎる日がいつかきますようにと、私は

明るく爽やかな頭のなかで考えている。その理想の情景はゆめみていたものがあったから、そのどれとも違う今の爽やかさには戸惑うのであるが……


 素直にその気持ちを表現してみたら、何かが変わるのだろうか。






 エンジン音が止まった。ドアの開く音がした。毛布から顔を出してみた。目に見えた景色はなんとなく予想していたものとは相反していて、ちらりと横を見るとそこには誰もいなかった。


 どうやって車から出たかは覚えていないけれど、下手(しもて)ギターのメンバーさんの顔が浮かんだから、きっとたぶんその方が迎えに来てくれたんだろう。裏口から入ると4人のメンバーが並んで立っていた。きっと夕方だった。いやもっと早かったのかもしれない。いや実は、白夜だったのかもしれないね。神でさえも惑わされたシャンパンゴールド色めいた、初夏の夜の始まりは永遠に続くかのようだった。幼い私は明確な意識下では時が止まったようであったことだけ覚えていたのだけれど、今の私なら素直に思い出せそうな気がしている。魂がゆらめき上がり落ちゆくあの狭い空間で受け入れたあの出来事は、私を女にするには十分でいて、あまった衝動は求め狂わせるにも十分で、次の貴方をも自然に受け入れていた。緊張感はもうなくて、なついてしまった私は、愛しているという感情を身体中に感じながら、彼からの愛してるという言葉を全身に浴び、また会おうと言われているのに何故断ってしまったんだろうかと思うくらい惹かれていた。最後に男が去ろうとした時にはまだ行かないでと懇願したらしい。さらにまだ登れそうでもあったけれど、優しく口に指をあてて私を逃がしてくれたんだ。その後には悲劇が待っているから、と。


 一夜限りの契りというにはあまりに刺激的で非日常でいて、私はその終わりは当日中に来ることを強がりながらわかっていたつもりでいたから27年も逃してしまったのかな。運命を信じる心と運命に耐える身体を手に入れるための道のりとしては長すぎることもきっとないし、大きな過ちの再調整もあったから、この道のりは適正もしくは早いと言ってもいいのかもしれない。もしもあのとき、私もまた会いたいと思うという気持ちを素直に表現していたら、何かが変わっていたのだろうか。そんな思いをさまよわせた今日の午後は、私が10年間のあいだ夢見てもがいてつかみとった新世界のはじまりとしては妙に落ち着いたものでいるけれど、もしも彼が来たら胸の奥から愛しさが飛び出てしまいそうだから、今は小説を書きながらその愛しさを切り取ってかけらにしていくの。予想もしていなかった結末だ、と言われているようだから、怖さを飛び越えて信じてみようね。そうだね。信じてきっと結ばれよう。

絶対だよ。この苦手な言葉を辞書に加えてみようか。うん、永遠に絶対にって、やっと言えるのかな。そうだね。永遠を永永にしたいね。エタニティ。



 神の光に照らされ続けた、シャンパンゴールドの光に包まれたあの夜は、当時あの場所にいた皆の胸に、いろいろな思いを残したまま、この世に存在しているものだから、確かにこの世で起きたゆめのできごとであり続ける。それは私の心をしっかりと癒し、私の半生の過ちを優しくゆるしてくれるものであった。











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