表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

姉妹の恋は大パニック

佐倉琴音は教室の中心で、色とりどりのマーカーで文化祭の看板をデコっていた。 「よーし、みんな! スイーツカフェの看板、めっちゃ可愛くするぞー! 絶対ナンバーワン!」 琴音の声に、クラスが「さすが琴音!」「ムードメーカー!」と盛り上がる。隣では、姉の花音が生徒会の書類をキリッと整理しつつ、琴音に微笑む。 「琴音、ノリノリじゃん。さすが私の最高の妹!」 「えへへ、姉貴のアイデアが神すぎるから! 姉妹最強!」 琴音が花音に飛びつき、二人でハイタッチ。教室が「仲良すぎ!」と笑いに包まれる。琴音の頭に、去年の夏の花火大会がよみがえる。花音と肩を並べ、夜空を見上げて「ずっと一緒だよ!」と約束した夜。 *姉貴の笑顔が私の宝物。この楽しい毎日、ずっと続くよね!* そこへ、転校生の高瀬陽翔が現れる。爽やかな笑顔で「屋台、楽しそう! 手伝える?」と声をかけ、花音が一瞬固まる。 「…あの、うん、手伝ってくれると…助かる。」 花音が髪を耳にかける仕草で、声が柔らかくなる。琴音はそれを見て、胸がチクンと疼いた。 *姉貴、陽翔の前だと…なんか可愛い!? って、私、陽翔の笑顔にドキッとしてる!?* 「うわっ、これはもう恋の大パニックだ!」 陽翔の友人・田中亮の叫び声が響き、花音が持っていた紙コップをひっくり返した。 「ちょっと、亮くん! びっくりさせないで!」 花音が慌てて机を拭く中、陽翔が「大丈夫、気にしないで」と笑う。琴音は目を逸らし、幼馴染の山本和真をチラリと見る。和真の無神経な笑顔にいつもドキドキしていたはずなのに、陽翔の声が頭から離れない。 *まさか私が陽翔のこと…!? いや、気のせいだよね! 姉貴の笑顔が一番大事!* 琴音はノートを握りつぶし、心の中で呟いた。 *姉貴の好きな人なんだから。こんな気持ち、持っちゃダメ。バレたら、姉妹の絆が…崩れちゃう!* --- 翌日、琴音は笑顔でクラスを盛り上げる。「スイーツカフェ、めっちゃバズるよ!」と叫び、看板にハートのシールを貼る。でも、陽翔の笑顔がチラつく。花音が陽翔に屋台のレイアウトを説明する姿を見て、胸が締め付けられる。 *姉貴、陽翔のこと…めっちゃ好きなんだ。* 花音はクールに「陽翔、ここの飾りは?」と話すが、陽翔が「花音のセンス、いいね!」と笑うと、髪を耳にかけて「…そ、かな」と頬を赤らめる。琴音はいつもなら「姉貴、可愛い!」と笑うのに、今日はモヤモヤする。 *私が陽翔を…好き? まさか、気のせいだよね!?* 放課後、琴音は和真に「文化祭、楽しみすぎるよね!」と話しかけて気を紛らわそうとする。和真は「サッカー部の焼きそば、勝負だ!」と笑うが、陽翔が「焼きそば、食いたい!」と加わり盛り上がる。琴音の心は、陽翔の声にまた揺れる。 *姉貴の好きな人なのに。なんで、私の心、こんなにチグハグなの?* 夜、琴音はベッドで寝返りを打ち、天井を見つめる。陽翔の笑顔、花音の柔らかい声がループする。小学生の頃、転んで泣いた琴音を花音が「琴音の笑顔が私の宝物だから、泣かないで」と抱きしめてくれた。あの夏の花火大会、「ずっと一緒」と約束した夜。 *姉貴の笑顔が、私の全部なのに。陽翔への気持ち…強くなって、心がバラバラになりそう。* 琴音は枕に顔を埋め、声を殺して呟く。 「姉貴の幸せを守りたい。なのに、陽翔のこと考えるたび、胸が痛い…。バレたら、姉妹の絆が壊れる。こんな私、嫌いだ…。」 翌朝、琴音は笑顔を貼り付け、「今日も盛り上げるよ!」と叫ぶ。でも、心の奥で、葛藤が重くのしかかる。 --- 文化祭準備が進む中、花音は「陽翔は私のもの!」と意気込み、屋台でマカロンをプレゼントしようとする。だが、ドジって床に落とし、「…うっ、失敗」と顔を赤らめる。陽翔が「めっちゃ美味しそうだったよ!」と笑うと、花音は「…次はバッチリ」と呟き、カフェでパフェを食べて気合いを入れる。 *陽翔の前だと、キリッとした自分じゃいられない。琴音にはこんな私、秘密…。* 琴音は看板に陽翔への隠しメッセージ(「笑顔、最高!」)を書くが、花音の派手なハート飾りに埋もれる。亮が気づき、「琴音も陽翔狙い!?」と大声でバラし、琴音は「バレたら姉妹の絆が…!」と焦る。花音が「琴音、隠してる?」と怪しむと、琴音は「なんでもないよ!」と笑顔で誤魔化すが、心臓がバクバクする。 *姞貴の笑顔が大好きだから、こんな気持ち持っちゃダメなのに。心が、ドミノみたいに崩れそう…。* 夜、琴音は部屋で姉妹の写真を見つめる。子供の頃、公園で花音と秘密基地を作り、「琴音は私の宝物、絶対守るよ」と言ってくれた花音。あの笑顔を守りたいのに、陽翔への想いが抑えきれず、琴音は涙をこぼす。 *姞貴、ごめん…。こんな気持ち、持っちゃダメなのに。心が、こんなに痛いなんて…。* --- 文化祭当日、スイーツカフェは大盛況。花音は特製スイーツを陽翔に「食べてみて?」と甘えた声で渡す。陽翔が「めっちゃ美味い!」と笑うと、花音は「…よかった」と頬を赤らめる。琴音は葛藤しつつ、クッキーを陽翔に渡そうとするが、花音とタイミングが被り、「え、ちょっと!」と叫ぶ。会場がクスクス笑い、亮が「恋の大パニック、キター!」と煽る。琴音の心臓が締め付けられる。 *姞貴の幸せを守りたい。でも、私の心、こんなに叫んでる…!* ステージでの屋台PRスピーチ。花音がマイクを握り、「陽翔、私の気持ち、受け止めて!」と情熱的にアピール、ウインクで会場を沸かせる。観客が「花音、可愛い!」と盛り上がる中、琴音は葛藤の限界に達する。マイクを握り、震える声で叫ぶ。 「姞貴の幸せ、ずっと願ってた! あの夏、姞貴と約束した『ずっと一緒』を守りたかった! でも、陽翔のこと…私も大好きなんだ! 隠してたけど、もう抑えられない! 姞貴、ごめん…!」 会場がシーンと静まり、観客がざわめく。花音は目を見開き、声を詰まらせる。 「琴音…お前も陽翔を!? 姞妹でケンカしたくない…でも、私だって陽翔を諦められない!」 陽翔は「二人とも…特別」と動揺。亮が「これぞ恋の大パニック!」と叫び、和真が「琴音、陽翔!?」と驚く。マイクの音が響き、会場は騒然。琴音の心の声が響く。 *姞貴の笑顔が大好きだから、こんな気持ち持っちゃダメなのに。この想い、爆発して止まらない!* --- 屋台の裏、姞妹は向き合う。花音が涙目で言う。 「琴音…お前がそんな想い抱えてたなんて。姞妹なのに、なんでこうなったの?」 琴音は拳を握り、声を震わせる。 「姞貴の笑顔が私の宝物だから、陽翔のこと好きになっちゃダメって…自分に言い聞かせてた。でも、抑えきれなかった。姞貴、ごめん…。」 花音は一瞬黙り、笑顔で言う。 「バカ、琴音。姞妹でケンカしたくないよ。陽翔のこと、好きなら正々堂々勝負だ!」 琴音は目を丸くし、涙がこぼれる。 「姞貴…! でも、私…自分の気持ちに正直になるよ。」 琴音は陽翔への想いを振り切る。和真が駆け寄り、ニヤリと笑う。 「琴音、ステージのあれ、カッコよかったぞ! 陽翔のこと、めっちゃ好きだったんだな。でも…俺、ずっとお前見てたから。」 琴音は和真の無神経な笑顔に、胸が温まる。 *陽翔への気持ちは本物だった。でも、和真の笑顔が私の心を照らしてる。姞貴と一緒に、前に進もう。* 「和真…ありがと。これで、いいよね。」 陽翔は「二人とも、めっちゃ大事な友達」と笑う。花音は「陽翔の心、絶対私が掴む!」と意気込み、琴音は和真と笑い合う。姞妹はスイーツを分け合い、「これからも姞妹だよ!」とハイタッチ。琴音は夜空を見上げ、微笑む。 *もし陽翔を選んでたら…なんて、考えてもいいよね。でも、今の私が大好き。* 文化祭の夜は、姞妹の笑顔で輝いた。 (完)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ