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女騎士さん、冒険者になる。~今日も魔物の肉がうまい~  作者: 九條葉月


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遭遇

 今日は休日。


 冒険者というのは不安定な職業であり、暇さえあれば冒険をして金を稼ぎ、一稼ぎしたらしばらくお休みというのが一般的な流れである。


 で。オークを討伐したことと『オークがゴブリンと仲良くしてましたぜ』という情報をギルドに売った結果、私たちはそこそこの収入を得て、晴れて数日間の休日と相成ったのである。


 ニッツとガイル、フェイス君は活動拠点(パーティハウス)として使えそうな物件を探しに行くというので、私とミーシャは二人で休日を過ごすことになった。


 いやパーティハウスを探すなら私たちも一緒に行くべきと思ったんだけど……ミーシャから『攻撃魔法を教えてください!』とお願い(という名の命令)をされたので別行動となったのだ。


 あまり人には見せたくないので、町からちょっと離れた草原へ。ここなら誰かが近づいてきてもすぐに分かるしね。


『みゃ! みゃ!』


 草原を駆け回る従魔・クリカラを横目に、まずは攻撃魔法の講義開始である。


「とはいってもAランク冒険者なら『実績解除』自体はできていると思うのよね。そんなに難しいものでもないし」


「いえ、だからその『じっせきかいじょ』って何ですか?」


「う~ん、世界の書き換えに対する許可証、みたいな?」


「お、思ったより壮大な話になりそうなんですけど……?」


「魔法なんてものは本来あり得ない(・・・・・・・)。だからこそ、それを扱うならば、それを扱うに足る実力があると証明しなければならないの。実績を積んでね」


「は、はぁ……?」


「攻撃魔法なら一定以上のレベル到達と、魔法を使用した状態でゴブリン10体以上討伐、オーク1体討伐が条件ね。もちろんパーティでの討伐も加算されるわ」


「それって……」


「じゃ、早速やってみましょうか。初級くらいなら体内の魔力を使うだけで十分だから」


「そんな簡単に……」


「はいじゃあリピートアフターミー。――雷よ、我が敵を討て(トニトルス)!」


「りぴーと?」


 首をかしげるミーシャの目の前で魔法の雷がパチパチと弾け飛ぶ。


「……そもそも適性がなければ雷魔法は使えないのでは……? と、トニトルス!」


 目を閉じながら恐る恐る呪文を唱えるミーシャだけど、魔力は驚くほど動かない。


「う~ん発音が悪い。もうちょっとこう、あざとい感じで!」


「あざとい……? と、とにとるす!」


 ちょっと腰をクネっとしながら呪文を唱えるミーシャ。大変萌えまする。


 しかしそんなミーシャの萌え力も世界には通じなかったのか魔法が発動することはなかった。何という融通の利かない世界でしょう。いっそ滅ぼしてやろうかしらん?


『――みゃ!』


 と、クリカラが尻尾を振ると、その尻尾の動きに合わせて雷光が走った。間違いなく攻撃魔法だ。


「……クリカラに負けました」


 力なく地面に両手をつくミーシャだった。なんかこう、ドンマイ?





「トニトルス! トニトルス! トニトルス!」


 クリカラに負けて自棄になったのか、めっちゃ呪文を連発するミーシャだった。


 そんな鬼気迫る彼女に世界がドン引きしたのか、何回目かの呪文でミーシャの右腕に雷光が走った。


「っ! 何か出ましたよ!」


「出ましたねー。じゃ、コツは掴めただろうから、今度は遠くに飛ばす練習をしてみましょうか」


「はい!」


 年相応のキラキラした笑みを浮かべるミーシャだった。大変萌えまする。いいわねぇ、美少女が浮かべる年相応の笑み、実にいいわねぇ。


『……みゃ?』


 なんだかクリカラが『ミーシャは美少女って年齢か?』的な顔をするけど、気のせいなので気づかない。美少女に年齢は関係ないのだ。美少女を称えよ、美少女はすべてを解決する。あとは美少年もすべてを解決するし、大人のおねーさんもすべてを解決するし、イケメンもすべてを解決するし、筋肉もすべてを解決する。


『みゃー……』


 トカゲ(?)のくせに器用に半眼を作るクリカラであった。


 さて、ミーシャが雷撃を飛ばそうとして失敗しているのでちょっとだけアドバイスでもして――


「――た、助けてくれ!」


 と、そんな叫び声が響いてきた。






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