ヘルメスの自慢話
※今までに小説を書くという経験がなかったため、拙い文章をお見せすることになるかもしれません。
※ゆる〜く書いているので、気軽に読んでいただけたら嬉しいです。
はっはっは! よくぞ来てくれたな、人間よ。
我は、偉大なる本物の神・ヘルメスである。
今まで途方もなく長い年月を生きてきた我の記憶を、どこかに書き留めたく思っていたところ、ちょうどこの "小説家になろう" というサイトを見つけたのだ。
まさに、これは運命である!
ここに、我の追憶を記していこうではないか!
……え? 急に厨二病くさいこと言うなって?
いや、だから我は本物の神様なんだって!
まあ、こんな返答をする奴は本当に厨二病に見えてしまうが……
……え? いつも時計とか香水を購入してますって?
それはそれは、ありがとう。少しばかり値は張るが、その品質は確かに我が保証するぞ!
まあ、ブランド物は自分のステータスにもなるし……
って、それは高級ブランド 「HERMES」(エルメス)だろうが!! 我にノリツッコミをさせるな!
……すまない、取り乱してしまった。
ん? なぜ本物の神様がネットを使っているのか?
それに「厨二病」とか「HERMES」みたいな単語を知っているのかって?
はっはっは、簡単な話だ!
我はこれでも神様だから人間界を見張っておく必要があるのだ。
だから、人間界にあるものは当然、我も知っておかねばならんのだよ!
……っていうのは建前で、お前達だって誰でも便利なものは使うであろう?
特に、このネット界とやらは無限の可能性を秘めているから使わないわけにはいかん!
それに……我は人間を気に入っているのだ。
人が紡ぐ物語は、時に我の想像をも超えてくる。
つまりは、人間にも無限の可能性があるって事だ。
まあ、この話はまたいつかすることにしよう。
そういえば、詳しい自己紹介がまだできていなかったな。
我はオリュンポス十二神の一柱、ヘルメスである。
オリュンポス十二神のことを今の人間は果たして知っているのだろうか……
まあこの中でも一番有名な神は、我が父でもある「ゼウス」であろう。
他にも、「アポロン」とか「ポセイドン」とか、まあ色々いるが、ネットで調べてくれた方が早いから割愛する。(全員紹介するの面倒くさいし)
とまあ、錚々たるメンツが揃っている訳だが、我はその中にいる、本当にすごい神様なのだ!
しかも、こう見えて我は様々な分野を司り、多くの人々から尊敬される、まさに「トリックスター」のような存在なのだよ!!
え? 自慢し過ぎだって?
別にいいじゃないか、ここで自慢ぐらいしても。
ネット界ぐらいしか自慢できる場所が見つからないのだ……
ということで、我が今まで成し遂げてきたことをここに書き残したい(自慢したい)と思うのだが……
実は、我は非常に忙しく、暇な時間が少ないのだ。
も、もちろん、人間界に存在する数多の娯楽に、時間を費やしているからとか、そういうわけではないのだよ……
それに、我には偉大なる神としての役割もたくさんあるのでな!
例えば、"伝令の神"として、我が父ゼウスの命令を神々や人間に伝えるという立派な役目が我にはあるのだ!
……お主、さては我のことをパシリをさせられている可哀想な神様だと思ったな?
はぁ。(ため息)まあ、それもそうだな。だって、我が父には逆らえないんだもの……
我が父であるとはいえ、神々の王だぞ?
逆らったらどうなるか……考えたくもない。
まあ、我は機敏に動ける能力があるから伝令要員にはもってこいという訳であろう。
それに、ゼウスの伝令というのは非常に重要な役職であるから、我以外には任せられないのだよ。
(↑一応誇りには思っている)
そしてもう一つ、我には重要な役割がある。
それは、"死者の案内人" としての役割だ。
まあ簡単に言うと、我は、死者の魂を冥界へと導く役職を請け負っているのだ。
この役割を持つ我は、"サイコポンポス"(=魂の指揮者)とも呼ばれているのだ。
(↑なんとも厨二病チックな呼び名だが)
実は、この役職は我が請け負っている役職の中で、一番気に入っているものでもある。
なぜなら、普通は触れる機会がない人間の魂に、この手で触れる事ができるからだ。
人間の魂は、実に興味深いものだ。
誰しもが持っているものでありながら、一つとして同じものは存在しない。
そして、人間の魂には必ず何かしらの想いが秘められているのだ。
その想いは、魂そのものを形成し、魂に動力源をもたらすものでもある。
それは死者の魂も同様である。
死者の魂は、元々属していた肉体から離れてもなお、何かしらの想いをその中に秘め続けているのだ。
我は、今まで無数の死者の魂と出会い、それらに触れ、そしてそれらを冥界へと導いてきた。
その過程で、我は何度か特異な魂に出会ったのだ。
一般的に、死者の魂は、その中に想いは秘めているがどれも微かなものである。
死ぬ前に抱く、自身の人生への後悔や達成感、はたまたある人への憤怒や悔恨の念、など言い出すとキリがないが、それらの想いは魂が肉体から脱することで自然と萎んでいくのだ。
そして、魂が冥界へ辿り着き、ハデス(冥界の支配者)による裁きが行われる頃にはその魂が秘める想いは、ほぼ無に等しい状態となる。
そして、あらゆる魂が、平等に、生前の行いに応じた処遇を受けることとなる。
まあ、仮に死後の魂に強い想いが残っていれば、魂の導きやハデスの公正な裁きを行う際に邪魔になるであろうから、都合はいいのだ。
しかし、死後に、その想いが萎むどころか膨らみ続けるような魂があった。
我は、その特異な魂が秘める想いを「魂願」と呼ぶ。
魂願を秘める魂は、我の冥界への導きを拒み、生前の願いを叶えようともがき続けるのだ。
我にとって、魂願を持つ魂は未知なものであり、人間に対して興味を抱くきっかけにもなった。
故に、この魂がこのまま冥界で裁きを受けるのは勿体無い! 我の下においておこう! と思ったのだ。
本来、死後の魂は必ず冥界へと導かれ、そこで裁きを受ける運命にある。
この理が破られることは、決して許されない。
だから、我のような「魂の指揮者」がいるのだが……
すまない、ハデス、そして我が父ゼウスよ……
我は世界の理なんかよりも、自身の好奇心を満たす方が大事なのだ!
そうして、我はこの特異な魂を研究? することにしたのだが、魂自体を分析する方法など知らないということに気づいたのだ。
だからといってハデスなんかに相談でもすれば、我が裁きを受ける羽目になるだろう。
それに、手元に人間の魂をずっと置いておくこともできぬしなぁ……
う〜む、どうしたものか……
そう悩んでいた時、ふと我は思いついたのだ。
そうだ!
この魂を異世界に転生させればいいのでは……?
そしたら、我とこの魂は Win-Win の関係になるのでは……? とな。
え? そんな無茶苦茶なことできるのかって?
はっはっは! 我を誰だと思っているのだ?
我は、「魂を導く神」で「トリックスター」なのだ。
これぐらい、我にとっては朝飯前というものだ。
こうして、我による「魂の異世界転生計画」が始まったのだ。
まあ、こんな事をしていたということが我が父ゼウスにバレでもしたら、我の魂もろとも消し飛ぶことになるだろうな。
(他にも、世界の理を何個か破っちゃってるし、ほんとにタダでは済まないだろうなぁ……)
あっ! そういえば我が父に呼び出されていたのを忘れていたのだ。
我としたことが、自慢話を書くのに夢中になってしまったな。
あまり、我について語る事ができなかった気がするが……とにかくここまで読んでくれて感謝する!
ではまたの機会に……