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魔王軍幹部の弟子の使い走り  作者: あおいあお
第一章 王国滅亡編
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09:下位幹部会②



「最近は魔王城に来る用事が多いねぇ」


「戦争が熱を帯びてきましたからね」


「何十年も経ってやっと大詰めかな? アスラの南方には霊草の群生地があるから、今のうちに採っておくか、焼き払わない様言っておかないとなぁ」


「私から伝えておきます」


「ありがとう」


 師匠からの感謝に胸が高鳴る。

 少し頭を下げた時、師匠のピッタリと藍色の布地に包まれた大きな胸が目に入った。

 女性だからこそ言える。大きい。

 私も胸は大きい自信はあるが、それでも師匠の艶麗な体付きには負ける。


「そういえば、アドラは元気してる?」


 と、私が魅入ってしまっていると、そう師匠から声をかけられた。

 ついその言葉に片眉をピクリと上がる。

 来て早々アドラの話ですか。


「ええ。もちろん。アドラなら心配いりませんわ」


「そう」


 と、それで満足したのか移動を開始する。

 師匠に三歩程下がって私はついていく。

 研究以外の時間は頭をぼーとさせる大事な時間らしい。

 なのであまり会話はない。


 会議室に着くと重厚な両扉が開かれていた。

 師匠に続いて入る。

 広々とした部屋に円形のテーブルが置かれ、椅子が五つ用意されている。

 やはりというか、既に過半数は埋まっているようだ。


「ふむ。相変わらず時間通りであるな。魔女、アウラよ」


「バラン様。並びに皆様も。ごきげんよう」


 師匠はローブを摘んで優雅に礼をした。私も頭を下げる。

 席位置は扉から一番奥の場所だ。一応序列順である。

 円卓の一番上側に座るのが序列七位のバラン様だ。この下位幹部会の議長となる。

 バラン様の後ろには黒い武術服を着た赤髪の男が立っている。バラン様の従者だ。


 バラン様の席から右に下った位置に座るのが序列八位、“鬼武神”グラハス様。

 紅の瞳、蓄えた白髭と癖のある白い髪の短髪が特徴の男性。左の耳と側頭部に、斬りつけられたかの様な一筋の傷跡が残っている。

 見た目は初老の男性だが、額から左右に生えたツノが鬼の血であることを示している。

 後ろの従者もツノが生えた鬼系だと分かる。見た目で言えば従者の男の方が老いて見えた。


 鬼武神グラハス様は大幹部の中で御二方だけ居る、魔王軍の将軍を兼任する人物の一人だ。

 そもそも大幹部とはどう言う位置付けかと言うと、分かりやすく言えば魔王様に協力的な超凄く強い人たちだ。

 魔王様に協力する事となった経緯は様々。例えば師匠であるアウラ様は研究費の援助を受ける代わりに研究成果の一部を献上する利害関係となっている。

 それがいつしか師匠の強さも相まって、魔王軍幹部の一人だと持ち上げられてしまったのだ。

 

 この様に大幹部は強さのみを補償するものであって、魔王様への忠誠心とは別である。

 また、自身の配下や軍勢を持つ大幹部も数多く存在する。

 例えばバラン様も、悪魔の軍勢を持つ地獄の君主である訳だが、それらは私兵であるため魔王軍とは独立した勢力だ。

 まぁ、実際に魔王様が指示を出そうものなら、身命を賭して遂行しようと誰だってなるだろうが。

 大幹部が魔王様直轄の部下という扱いである以上、それらは魔王様の私兵と言える。

 実際、アスラ王国王都陥落に向けた作戦の全権を任されたバラン様であるが、それは魔王軍参謀本部からの指示ではなく魔王様から直接賜った指示である。


 ともかく、魔王国から徴兵した魔族達や編成した魔物共による軍団を指揮する将軍は別に居ると言う事だ。

 むしろ大幹部の殆どが魔王軍とは独立した存在と言えるのである。



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名前が一文字違いとか魔王軍にも勇者パーティーにもいてどうにかならないものか
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