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プロローグ

僕はジョンソン家の一員で、ジョシュアという。アフリカ系イギリス人の血を引いている僕は、家族と一緒に白人人口が多い北方の小さな街で住んでいるため、学校では常に白人の友人に囲まれるばかりの毎日を送っている。


兄弟のうちの弟である僕は、いつも自分に正しくあれという自己制御と強い責任感を保っていくつもり。何故なら、兄であるエリックの方はしっかりしてないところが多いからだ。短気で自己主張の激しいエリックは文学や勉強全般は苦手でありながらも何故かスポーツだけが万能だ。そのおかげか、いつも陸上競技とかバスケットボール試合等で見にきた女子にちやほやされる。


『あの日』で、僕がいくら気合を入れて頑張っていたのにもかかわらず、完膚なきまでに兄の所属していたチームに負けちゃったのを今でも鮮明に思い出せる。


でも、とある日、僕達の日常がすっかりと変わる出来事が発生した。

もう3か月も前の事なので、全部をじっくり語っても意味がないので簡潔に言うとこうだ:


そう、上空に浮かぶ二つの月を見てみると分かると思うのだがここは地球ではなく『異世界』なのだ。

3か月前の突然の異世界召喚で、僕は兄と共にグダード王国に連れてこられた。


後、30秒も遅れて僕達の異世界召喚に巻き込まれた幼馴染である銀髪の白人少女のエリンまで転移してきてしまった。その時まで遡って語ると、こういう一連があったのを今でもはっきりと覚えている:


謁見の間にいる僕ら3人の前に、そこには玉座らしきところに腰を下ろしている王様みたいな老人と上品で物々しいぷっくりとしたドレスを着ている金髪の美少女がいた。機動力の劣る服装を着ているのに腰には長い鞘に収まった長剣が下げているので、恐らく剣術のことも出来るだろう。


後から知るようになるが、彼女はキャサリン王女だった。きりっとした目を向けてきた彼女は何でか鋭い目線を僕ではなく兄の方に注いでいる最中だ。彼女の視線を辿ってみるとどうやら兄はエリンと何かを話していて、前方にいる王族達をまるでいないもの扱いにしている様子だ。


まあ、きっとエリンのことが心配で僕らの異世界召喚に巻き込んでしまったことを悪く思ったと、後から察することが出来た。


そして、キャサリン王女の友人である茶髪のミッシェル公爵令嬢も同席していた。


魔導士っぽい服装を身に纏うミッシェルは王女と違って物腰柔らかな雰囲気を纏う少女で、それでいて淡々と事を進めるだけの冷徹さも備え持っている実力主義者であると、これも後から知るようになる。

二人はエリンみたいに白い肌をしており、異世界人でありながらも同じ白色人種らしき者達なのだろう。


「召喚の儀に応じてくれて感謝するぞ。ようこそ我が城へ」


「冠を被っているところから見るに、貴方がここの国の王様で間違いないよね?」


「如何にも。そなた等もこれを見て察することが出来るならば話が早いじゃろう。じゃ、まずはー」


「待ちなさいよー!そこのあなた!」

「!?」


劈くような黄色い怒号が炸裂した。王女からだ。

挿絵(By みてみん)


「おう、俺か?」

指差されたエリック兄が軽い調子で確認を取るが、


「『俺か』じゃないわよ、この痴れ者が!良くもまあ王族である私達を前にしてそこの女とばかり話し合っていたものですわね!まさかあなた、不敬罪ってものを知らないのかしら?そうだとしたらさぞ無知にもほどがありますわね、そこのチョコレート色の田舎者は~」


「なんだって言った? この俺様をバカにしているのか?」 」


王女の蔑んだような声が響く中、兄の衝動的な性格が発揮され、キャサリン王女との間で口論が始まった。兄は負けず嫌いで、キャサリン王女は高飛車で上から目線の性格だったため、互いに反発し合っていた。


「あなたが何を言おうと、私には関係のないことですわ。ただの下僕の兄弟でしょう?」


その言葉が放たれると、周囲の人々が息を呑む中、兄とキャサリン王女の対立が激化していく。

この会話を見ていた僕は、心配で仕方がなかった。兄の剣幕とキャサリン王女の高慢な態度が衝突し、事態が悪化することを予感していた。


僕はエリンを見つけ、困ったような苦笑いを浮かべる彼女に目を向けた。彼女も兄の怒りにはおびえている様子だった。どうやらエリンはエリック兄を宥めることに関して遠慮しているようだった。


「そんなこと言われても黙ってはいられない! 俺達だって、立派な存在なんだぞ!」

兄の声が高まり、彼の怒りは頂点に達した。しかし、キャサリン王女は高飛車な態度を崩すことなく、兄を挑発し続けた。


「立派な存在? そうでしょうか? 私には見えませんわ。ただの労働のし過ぎで焼け焦げた単細胞な田舎者のように振る舞っているだけよ」

キャサリン王女の冷たい言葉に、会場は一層の緊張を帯びた。兄は顔を赤らめ、怒りが爆発寸前に迫っていた。


「黙れ、そこのアマ! お高いところに留まっているつもりでいるようだがお前には何もわかっていないんだよ、俺達のことが!」


エリック兄の剣幕が一層強まり、周囲の人々は警戒しながらも、彼の真摯な怒りに感銘を受けていた。

僕はそんな兄を見つめながら、心の中で思った。兄はいつも真っ直ぐで正義感が強く、誰に対しても平等な態度を持っている。彼がキャサリン王女の言葉に屈することはないだろう。


しかし、この場でエリック兄とキャサリン王女の衝突が激化する前に、何とか静止させなければならない。二人の争いが起きる前に、和解を図る方法を見つけなくてはならない。ふと、エリンのことも心配で彼女の方に振り向いたら、


「はい。あたしはもう大丈夫よ、ジョッシュ。エリック君を助けて」

「そのつもりだよ、エリン!」


エリンは引っ込み思案でおとなしい性格ではあるが、覚悟が決まった時には僕らふたりよりも冷静でいられ遥かに勇気を見せることも出来る子だ。


なので、兄の怒りに対して、僕は静かに彼の側へ歩み寄る。

エリック兄を抑えるために近づき、軽く肩を叩いて注意を促した。


「エリック兄、冷静になって。王女との喧嘩は避けるべきだ。この場ではお互いを尊重し、調和を保つことが大事だよ」

兄は僕の言葉に反応し、怒りを抑えながらも苦笑いを浮かべた。


「お前が言うな。ただの弟のくせにあの口の減らない女に味方するなんて、邪魔だと思わないのか?」

兄の声は苛立ちに満ちていたが、僕は心の底から答えた。


「エリック兄、僕たちはここで任務と使命を与えられるために召喚されたかもしれない。自分勝手な争いではなく、王国を守るために力を合わせなければならないんだ。なんか、使命を果たさないと僕らは地球...というかイギリスにある僕らのうちへ帰れない気がするんだよね。だから、帰れるようにするために王女とも協力することが重要なんだと思うよ?」


王女は僕達のやり取りを静かに見つめていたが、やがて嘲笑ともとれる言葉で、今度は僕の方に向かって声をかけてきた、


「あら、真っ当なことを言うつもりのようだけれど、あなたもそこの野蛮な単細胞君と同じく、チョコレート色がそっくりだけじゃなくて王族である私達に対しても不敬を働いていましたわよね?」


ん?それはいつからー


「まったくもう~!これだから屋外労働ばかりする田舎者は困りますわね!さっき自分の行いを思い出してみなさい。あるでしょー?ほら、お父様に対して、冠のことを差す時に」


うん?ああー!『冠を被っているところから見るに、貴方がここの国の王様で間違いないよね?』って!


!!つまり!僕は一国の王様に向かって、敬語を使わずにため口ばかりで話してしまっていたーー!!


「なので、あなたも不敬罪で問われるべきですわ。もちろん、後ろの粗野で野蛮な方の単細胞チョコレート君も言わずもがね」


「~!!んだとこのアマーーあ!黙って聞いてればさっきから次から次へと垂れ流しにほざきやがってばっかー!もうそこまで!それ以上、俺達を愚弄する気ならこっちにも考えがあるぜー!おい、俺と勝負しろ、そこの減らず口な金髪の女!」


僕のために怒ろうとした矢先にまたも彼の方に戻って飛び火したからか、遂に怒りの頂点に達したか兄。決闘?を申し込んだっぽいエリック兄。


やれやれ、こうなったら何言っても聞かないので最悪な結果になること間違いなしだな、あはははぁ……(乾いた笑いしか出来ない僕だった)。それにしても、この騒動を前にしても、そこにいる魔導士っぽい服を着てる娘は何も一声を発することなくただ淡々と無表情のまま見守るだけにするだなんて、一体どういう神経してんだ?仮にも仕えるべき主君が目の前にいるというのにその無関心っぷりは如何の物か....


それから兄を落ち着かせようと必死になる僕だったが、キャサリン王女と兄はまるで決闘を始めるかのような勢いでお互いの方に向かって近づいていった。


「もう十分だ! 黙っていろ、そなたら!」


王様の厳しい声が響き渡り、場は一瞬にして静寂に包まれた。


「王様に失礼な態度を取る者がいるなど、到底容認できん!」


僕たちは王様の厳しい視線を受けながら、恐縮しきりだった。兄の怒りも一気に鎮まり、静かな雰囲気が広がる中、王様が話し始めた。


「召喚されし者共よ。今の余の前に立つのは、ジョンソン家の兄弟とエリン、正義の心を持つ者共じゃ。余はグダード王国の王であり、お前たちに重要な任務を与えしたく召喚したまでのことじゃ。」


王様の言葉に僕たちは驚きながらも、任務に対する熱い期待が芽生えた。というか、僕らの名前まで知っているなんて、僕らだからか狙って特定な召喚が出来るというのかー!?てっきり偶然で召喚されてきたかと思ってたけど、詳しい話は後から聞く必要があるな、うん!


「この王国には、【ソロニア】と呼ばれる邪悪な秘密結社が存在しておる。彼らは王国の安定を脅かし、人々を苦しめておるのじゃ。そなたらには、その秘密結社を狩り出し、王国を守るという重大な使命を命じよう」


王様の言葉に、僕は固く心に誓った。この異世界で、正義と勇気を持って立ち向かい、王国を救う使命を果たすのだ。


果たして、これからの僕らの運命や如何にーー?






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