記憶持ち
「この国にいる気はないって、どういう意味?
他の国に輿入れするって事?」
「…お姉様、今まで城のみんなの私へのイメージってどんなですか?」
「え? シルビアのイメージ? それは…」
「王族の癖に大した魔力もなく、引きこもっているダメな王女。
同じ兄妹でも、優秀な2人と比べられて可哀想な末の王女。
王家の面汚し、無能、役立たず」
「シルビア! やめて」
お姉様は私の手を握って止めます。
別に、感情的にはなってないのだけど…
お姉様がとても辛そうな顔をしているから、ちょっと罪悪感が沸く。
「私は別に傷ついている訳ではありませんよ」
一応安心させるために笑顔で応じる。
「でも、大半の者がそう思っています。
そして私の扱いに困っているのです」
「そんなことないわ、その噂だって半分以上がイザベラ様やエドワードの所為じゃない」
「だとしても、それを訂正もせず、払拭しようともしなかったのです」
私はお姉様の手をトントンと叩きながら、ゆっくりと話し続けた。
「そんな事に労力を使いたくなかったし、どうでもよかった。
私は魔力がなかった事を良かったとさえ思っていたから…
この国は魔法に囚われすぎて、いろんな事が狂っていると、思うのです
お父様やお兄様はそれを変えたいのかもしれないけど、そんなに簡単には人の考えを変えることは出来ない」
「あなたが言いたい事は分かるけど、それとあなたがこの国から出るのとどんな関係があるの?」
困惑するお姉様。
「私はこの国のそんな風習が嫌いです
自分に魔力がないからではなく、鑑定前から私の考えはそうなのです」
「シルビア…」
お姉様は困惑の色濃くする。
「お姉様、…記憶持ちって知ってますか?」
「ええ、フィリオ国ではたまに現れるって話をクレア様から聞いた事があるわ」
「私も記憶持ちなのですよ」
「え? シルビアが記憶持ち?」
「私がその事に気付いたのは、まだ小さかった子供の頃です」
「まさか…」
「黙ってて、ごめんなさい」
私はそっと目を伏せた。




