エドワードの恋の相手
私はセシル様に1つの提案をします。
「セシル様、もしよかったらコスモスを見てから帰りませんか?
何だかとてもうっとりと思い出話をされていたでしょう?」
「ええ、だってとても美しかったから、それに…
いえ、もし出来るならもう一度見たいです」
「では、行きましょう。
ちょっと寄り道するだけ、5分もかかりませんわ」
そう言って外廊下から庭園の方へ歩いて行く。
コスモスが見えてきた。
濃いピンク、薄いピンク、白いコスモスなどグラデーションになるように植えてあり中央のベンチの辺りはピンク一色に染まっている
「やはり、素晴らしいですね」そう言ってため息をついているセシル様。
「そなたは、あの時の…」
いきなり声がしてエドワードが現れた。
そして、エドワードが見ているのはセシル様。
あれ?
まさかエドワードの相手って…
うそ!
「あ! あの時の…
この間は道案内してくださりありがとうございました。
挨拶が遅れましたが私セシル・ヴァレリーと申します」
「セシル嬢か…
いや、大した事はしていない。
それより、これ…」
エドワードがハンカチに包んだブレスレットを差し出した。
「これ、私のブレスレット… どうして?」
「セシル嬢を案内した後、この庭園に落ちていたんだ。
多分セシル嬢が落としたと思って持っていたんだ。
次に会えたら、直ぐに渡せるようにな」
「まあ、そうでしたか… ありがとうございます。
祖母にもらった大事な物だったのです」
「そうか、渡せてよかったよ。
そうだ、言ってなかったな、
私はエドワード・ベリンデルと言う。
そこにいるシルビアの兄だ」
「え? 兄?
エドワード様は王子殿下だったのですか?
知らぬ事とはいえ、ご無礼をお許し下さい」
「いや、気にするな、渡せてよかった。
じゃ、じゃあオレはこれで」
そう言ってエドワードは去っていった。
何となく顔が赤いエドワードは耳も真っ赤だった。
これは間違いないだろう。
けど、先にセシル様だわ
「セシル様、そろそろ参りましょうか。
ブレスレット見つかってよかったですね。
お姉様には私から報告しておきますわ」
「はい。あのエドワード様はシルビア様のお兄様なのですか?」
「ええ、腹違いですが…」
「え? あの…私」
「いえ、気にしておりませんので、大丈夫ですわ」
まさか、エドワードの恋の相手がセシル様だったなんて…
いや、ハッキリそう決まった訳ではないけど…。
でも、どう考えてもそうだよな~。
だっていつもこの場所でため息ついてたらしいし。
きっとここにいれば、いつか会えるとでも思ってたのかな…。
やだ、エドワードったら恋して、健気になってしまったのね。
ちょっと可愛く思える。




