兄と姉
「お加減はいかがですか?」
「ええ、落ち着いたわ」弱々しく微笑んで答える。
「お食事は食べれそうですか?本日はフレデリック殿下とシルビア殿下から、ご一緒にと伝言を頂いております」
「うれしいわ、食欲はあるからお兄様たちとご一緒します。」
「かしこまりました。ではお支度いたしましょうね」
エマリアが手をたたくと3人の侍女が入ってくる。
私は淡いオレンジのドレスに着替えさせられ、髪や化粧をされていく。
久しぶりの兄妹3人の晩餐に少なからず嬉しさを覚えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
フレデリックお兄様とローザリアお姉様との晩餐はとても和やかに、楽しく進んだ。
今日のお料理は私の好きなものばかり、二人が私の事を思ってくれてると分かる。
この王城で二人が私の唯一無二の存在であり、ここまで逃げずに生きてこれたのは二人がいたから。
食事後のお茶とデザートをいただいている時にお兄様から声をかけられた。
「シルビア食欲があるようで、安心したよ。体調はもう大丈夫そうだね」
「はい、兄様もう平気ですわ、ご心配頂きありがとうございます。」
と私は笑顔で返す。
「お前の気分がすぐれなかったと言うことは、またエドワードと何かあったか?」お兄様が眉間にシワを寄せて言う。
「姉さまと温室で会っておしゃべりをした帰りに、エドワードと遭遇してしまいましたの。
わたしにこんなところで油を売ってないで少しは魔力量があがるように努力しろ、お前のせいで俺まで笑い者になる。と。
そしていつもの捨て台詞ですわ『出来損ないのくせに生意気だ』って。」
「はあー」ローザリアお姉様がため息をついた。
「ごめんなさいね、シルビアあなたの部屋まで一緒に行けばよかったわね」
心配そうにお姉様が私を見ます。
「いいえ、姉さまはあの後バレリー侯爵令嬢とお約束がありましたでしょう?」
バレリー侯爵令嬢はお姉さまの大事なお友達です。
「ええ、それはそうなのだけれど…」
「姉様のお気持ちは嬉しいですわ、ありがとうございます」
「まったく、なぜアイツはこんなにシルビアを目の敵にするのだろうな」
「決まってますわ、またイザベラ様に愚痴を言われたのですよ。本当ならエドワードが1番王位にふさわしいとか、シルビアがお父様の同情を引いてるから、自分をかまってくれないとか自分達に都合のいい話を吹き込まれておかしな被害妄想に取りつかれているんですわ」
お姉様が珍しく毒を吐いてます。
「シルビアあなたはあなたよ。魔力なんてなくても私達の大事な妹なんだから。シルビアの魔力とエドワードなんて何の関係もないのに言い掛かりばかりなんだから」
お姉様は私に対してのエドワードの態度を相当怒っていますね。
「父上がイザベラを避けるのは自業自得だろうに…
あの人も魔力第1主義のような所があるからな。
魔力によって優劣をつけて態度を変える。
いくら側妃とは言え、皆の手本にならなければいけない王の妃が、面と向かってそのように振る舞って言い訳がない」
そうです。
イザベラ様はいろいろとやらかして、お父様の不評をかっているのです。
でも、ご本人はそれに気づいてないご様子で、頓珍漢な誤解をされています。