夢の実現
カミラ様と別れて王宮に戻ってきた。
カミラ様は気付いてないけど、私が1人で城外に出れる訳もなく、周りには変装した護衛が10人ほど張り付いていた。
お姉様たちは過保護だから、それ以外にも、やれ分身も付けた方がいいとか、防御魔法はかけていけだとか、2人を納得させて、城を出る方が大変だったのだ。
帰って来て、すぐに2人に報告に行く。
「お兄様、お姉様只今戻りました」
部屋へ入るとお姉様が抱きついてきた。
「ああ、よかったわ。
何事もなく帰ってきて」
「ローザリアはお前が出て行った5分後から、ずーとやっぱり行かせるべきではなかったって凄い騒ぎだったんだよ」
ははは、それは想像できる。
目に浮かぶわね。
「お姉様、心配し過ぎですよ。私は馬車に乗って王立図書館の門の前まで行って、中にいただけですよ。
その後もカフェテリアの中にいただけ。
その後また馬車に乗って帰ってきました。
ハッキリ言って町中を歩いた訳ではないのですよ」
「でも図書館からカフェテリアに行ったのでしょ?」
「カフェテリアは図書館の目の前ですよ。
道を渡っただけです」
いくら、説明しても埒が明かなかった。
お兄様も苦笑いをしている。
「お姉様、そろそろ本題にはいりませんか?」
お姉様もしぶしぶ応じてくれた。
私はカミラ様と話した内容を2人に詳しく語った。
「カミラ様はとてもいい方です。
ただ、王妃になることも、お兄様と結婚することも望んでない。
そう言った野心はないのです」
「そうね、話を聞いてる限り子爵令嬢に対しての対応もとても優しいものね」
そう、今日の私は王女ではない、子爵令嬢だったのだ。
普通に高位貴族の家で育って、あんなに気にせず下位貴族の令嬢と仲良くしてくれる人って珍しいだろう。
そう思うと残念でもあるんだけどね。
でもでも、彼女にはもっと自由になって欲しい。
そんな事を考えていたら、ちょっと暗い顔をしてしまったらしい。
2人が私の顔を覗き込んでます。
「あ、ごめんなさい
つい考え事してしまって」
「何を考えたの?」
「今日詳しく話を聞いたら、いろんな国に行ってみたかったり、交易、貿易に興味があると言うより外交をしたいのだそうです。
男に生まれていたら、外交官になりたかったと言っていました。
だから、その夢が叶わないなら、どんな人生もいっしょだから、逆らわないのだと」
そう、カミラ様はその夢のためなら頑張るし、戦う事もするだろう。
でも自分の今の立場ではその夢は叶わないのだ。
だから、もうどうでもいいと自暴自棄にも似たあきらめが彼女に流される人生を受け入れさせていた。
私自身の未来もどうなるかは分からない。
でも、あきらめないで坑がいたい。
夢のために戦っていきたい。
だから彼女にもあきらめてほしくないし、応援したかった。
「私はカミラ様に、夢をあきらめてほしくなくて…
何か私に出来ないか考えてしまったのです」
お兄様が何か考えている。
「シルビア、父上にも相談しなければいけない事だけど、もう少し待ってもらえる?
お前の気持ちはわかったから、出来る事を探してみよう」
そう言ってくれました。
何をどうするかは分からないけど、これは一旦保留ですね。




