大切な家族
お父様が、貴族院のたぬき親父を相手にしている時、私達兄妹は端に集まり、これからの事を相談していました。
ちょっとこそこそと密談状態です。
まずは、私がカミラ様を訪ねて、王立図書館に行く事。
セシル様をもう少し審査しようと言うこと。
でも、私の一押しはアリシア様になってるんですけどね。
彼女はちょっと気弱に見えていたけど、ほんとは自分の大切な人の為に戦える人だ。
そして、セシル様を庇ったように、困っている人にも優しく出来る。
私がその事を言うと、お姉様も同意していた。
お兄様は、ちょっと考えている。
「お兄様、1度お話してみては?」
「そうだね、マデリーン様の事は声をかけてあげたいよな…」
そう呟いた。
なんかしみじみとしてしまったな~ なんて思っていると。
「シルビア」
お父様の、声が聞こえました。
振り向くとお父様が立っていて、もうたぬき親父たちはいなくなっていました。
お父様は私の前まで来て、「シルビア叩かれた頬は大丈夫なのか?」
と聞かれました。
昨日も、もじもじ何か言いたそうなお父様でしたが、それを心配してくれていたのですね。
「はい、お姉様に言われて、防御魔法をかけていましたので」
「そうか、シルビアも防御魔法が使えるようになったか」
まあ、そのくらいはね。
お父様の中の私は花を咲かせるとか、木を元気にするとかその程度だから、攻撃魔法や防御魔法はやったことないと思われていたみたい。
そんなことに嬉しそうな顔をされるのもなんだか、背中がもぞもぞする。
「お父様ったら、私も少しは成長していますよ」
そう言うとまたニコニコ嬉しそうだ。
そして、横から見ている兄たちまで…。
凄い過保護な家族に見守られているような図になっている。
なんかもう恥ずかしすぎる!
「もう、何ですか?」
照れから、プリプリ怒って見せるけど、余計みんなが笑う。
「お姉様、私先に部屋へもどります!」
そう言って、逃げるように謁見室を出ました。
こんな瞬間があると、当初の目的であった家を出る事を躊躇しそうになってしまう。
でも、やっぱり自由にはなりたい…。
あと少ししかない、家族と過ごす時間は大切にしていこう。
もうすぐ来てしまうであろう別れの時まで…。




