さあ、本番です(2)
「アリシア…」
レオノーラ様はまだ混乱の中、後ろから現れたアリシア様たちを見て呟きました。
「シルビア様にまで暴言を吐いたのですか?
あなたもしかして、王族であるシルビア様も見下してしたのですか?」
「な、なにを馬鹿な事を…」
「あなたの中にはある基準の話です。魔法や位で人を見下してそのような人へひどい事をしてきた」
アリシア様は鋭い眼差しで、レオノーラ様を睨みます。
「わたくしに文句を言うのは、我慢も出来ます。
けれど侍女や下級貴族の令嬢を貶めたり、嫌がらせをするのは許せません!」
「何を言っているの? わ、私はそんなことしてな…」
「マデリーン・モロー子爵令嬢を知っていますね?
あなたはマデリーンの婚約者に嘘を吹き込み婚約破棄させたでしょう?
その後、マデリーンがどうなったか、ご存じ?
ショックのあの子は自ら死を選んだ!
今は亡きマデリーンはわたくしの乳姉妹よ!」
目に涙を貯め、凄い迫力のアリシア様を誰もが固唾を飲んで見守った。
「あなたはご自分より下だと、認識した途端今のような威圧的な態度を取るのですね」
私は2人の間に割ってはいった。
「そして、格下の相手には非道な手段を、講じていた」
「レオノーラ嬢、あなたは自分よりシルビアを下に見たのね。妹が魔力が弱いことを侮辱したのね!」
ローザリアお姉様が私の横へ来て追い討ちをかけます。
「そ、そんな私はシルビア様を貶める気などありません!」
「では、先程のアリシア様が言った事は?
あれも違うのですか?」
「あ、あれも、アリシア様の勘違いですわ」
挙動不審ですけどね、一応は否定しますよね。
「では、これはどうです?」
私は庭園の一画に大きな白い幕を用意させました。
そこに魔道具で画像を映します。
それは先程アリシア様の侍女が怪我を負った時の映像です。
実は今日の会場は至るところに私の作った魔道具を設置しています。
前世で言うところの防犯カメラとか隠しカメラみたいなものですね。
先ほど、アリシア様は言葉を濁していましたが、私が追及しなかったのは、後からカメラ映像を調べる気だったからです。
分身侍女に調べさせれば、バッチリ映ってましたよ。
レオノーラ様が魔法攻撃したところが!
アリシア様を狙ったものを侍女が咄嗟に庇っていました。
そしてもうひとつ。
セシル様に詰めよっていた場面もあります。
そして極めつけは私への暴言。
これはここにいるご令嬢たち全員へ聞こえてます。
だって拡散魔法つかったからね。
そしてなぜ私がいきなり、元のシルビアに戻ったか? と言うと…。
これはね初めからシルビアだったんです。
ある一部の人にだけ、金髪のミルビアに見えるように魔法をかけていました。
最初に、お姉様に見せた時もお姉様に魔法のかかり具合をチェックして頂いたんです。
(その後すぐにお姉様の魔法は解いています)
だから、ミルビアを見ていたのはセシル様とレオノーラ様だけです。
他の令嬢たちは王女である私に暴言を吐き出した侯爵令嬢のご乱心に見えていた事でしょう。
拡散した声も〈子爵令嬢〉って所だけ聞こえ難くしてましたので、皆さんなぜレオノーラが子爵令嬢だなんて言い訳をしているのか、分かっていないと思いますよ。




