お妃選定のお茶会(2)
幸い侍女の怪我も大したことはなかった。
ただ少し出血が多かったため、女性ばかりて慌ててしまったらしい。
アリシア様には怪我もなく、ドレス等も無事だったので、残りの侍女を連れて一緒に会場に向かう。
「お顔の色が悪いですが、大丈夫ですか?」
そう聞いてみた。
「はい、手をお貸し頂きありがとうございます。
私は怪我もしてませんし、少し驚いただけです」
「あの~、一体何があったのですか?」
「そ、それは…」
めちゃくちゃ言い淀んでるけど…。
それって何かありましたって言ってるのと変わらないですよ?
まあ後でゆっくり調べまーす。
分身2にはもう指示だしてるし。
「ちょうど会場に、着いてしまいましたね。それではまた」
そう言って私は離れた。
急いで中へ入ると、お姉様と目があった。
無言で頷くと、お姉様も同じように、頷いた後、声をあげた。
「皆様、お待たせいたしました。
そろそろ始めさせて頂きますね」
お姉様がそう言うと皆周りに集まり出す。
総勢30人前後、多すぎず、少なすぎず、何か騒げば、皆が気がつくし大声で話せば皆が聞こえる程度のちょうどいい人数。
まあお姉様は魔法で声を大きく響かせてるから、聞く側は聞きやすい。
「今日はお兄様のお妃候補の皆様、ならびに将来この国の社交界で活躍されるであろう方々と交流をもち、同じ世代でこの国を支えていくために皆さまと親交を結びたいと企画いたしました」
お姉様は周りに微笑みながら続けます。
この会の目的の裏を知ってる人間からすると、見方によっては怖い。
「是非皆様の忌憚のない意見をお聞かせ頂き、より一層王家と貴族間の相互理解に勤めて参りましょう」
パチパチ
周りから拍手が起こった。
「それでは、最初はお茶会ですから、少し飲食をしながらお互いに自己紹介など、なさって。
もしかしたら、知らない方もいらっしゃるかもしれないし…
私も、順々にお声を掛けさせてもらうわね」
みなさん各々行動を開始し出しました。
さて、どこへ行こうかな?
とりあえず、アリシア様とレオノーラ様の位置はと…
2人の場所を確認して侍女3と侍女4に監視をお願いする。
侍女1はお姉様に付いてね。
残り2人は会場見回りよ。
各々持ち場に散っていきました。
私は果実水を2つ持ってある令嬢の所へ向かいます。
「こんにちは、はじめまして私ミルビアと言います。子爵令嬢です」
「あ、こ、こんにちはセシルです。ヴァレリー伯爵家の娘です」
そうこの娘セシル・ヴァレリーはお妃候補から漏れていた子だ。
何でも母親は隣の国出身で、離婚してセシルを連れて実家へ戻っていたそう。
母親が亡くなって、今度は父と暮らすことになったみたい。
だから12歳をすぎても洗礼式をしていなかったのだ。
ついこの前教会で魔法判定を受けたばかりで、風と水の2属性の魔法を使える上に、訓練すればもう1属性使えそうらしい、魔力も多いとか。
だから、今日実物に会うのを楽しみにしていた。
「セシル様、よろしくね。
歳は? 私は16歳なの」
「私も16です」
「あら、同じ歳なのね 仲良くしていただけると嬉しいわ」
私たちが自己紹介して、話し出すと、こちらをじっと見つめるレオノーラ様が目に入りました。




