お妃選定のお茶会
お茶会当日、朝から侍女たち総出で会場作りが始まっていた。
まだ夏の気配も残る秋晴れ。
天候にも恵まれてガーデンパティーにはとてもいい日和だ。
昨日のうちに会場のセッティングは終わっていたが、今日は花を飾ったり、テーブルセットの最終確認など、やらなければならない事はいくらもあった。
ガーデンパーティーなら、立食だしみんな各々おしゃべりもしやすいと言うメリットと、勝手に動きまわれる為揉め事も起こりやすいと言うデメリットがある。
初夏にナタリー様主催のパーティーで起こった私に対するイザベラ様の嫌がらせのように…。
今回は反対にこっちから揉め事を起こしたいので、デメリットもメリットになる。
私の分身も侍女に変装した。
まわりの侍女が知らない同僚を不審に思わないように、予め侍女長に今日の助っ人と言うことで紹介してもらった。
会場、各持ち場の準備は万端。
さあお茶会の開催ですよ!
◇◇◇◇◇◇◇
時間が迫り、招待客もだいたい集まってきました。
まだ来ていないのは、レオノーラ様とアリシア様ね。
分身1が入口付近を確認してくれている。
会場の令嬢たちの顔を見ると大まかに3つ位に分けられる。
1つは今さら何を始めようとしているのだろうと言う不安で沈んだような顔色の人、2人の候補者もこれに該当するかな。
2つめは噂を信じて、あわよくば候補者に選ばれるよう頑張るために、勢い込んだ顔をして参加している人
これが1番多い。
3つめはなぜ自分がここに招待されてるのだろう…って困惑している顔の人。
最後のこれには訳がある。
今までのお妃選びの条件から漏れていた令嬢が3人いたのだ。
2人は、今まで事情があり他の国にいたため、こちらが把握していなかった。もう1人はお妃選びが始まった時にまだ洗礼式を行う歳ではなかった。
そこで今回いい機会なので、この3人を招待枠に入れたのだ。
うん?入口の分身1から連絡だわ
どうやら、レオノーラ様がやって来たみたいね。
後は、アリシア様だけど何かあったのかしら?
分身2に様子を見に行ってもらおう。
そろそろお姉様もいらっしゃる頃ね。私も入口に向かいお迎えしよう。
今の私はピンクのドレスで、金髪に髪を変え眼鏡をかけた見知らぬ令嬢に変身している。
最後に流した噂の為に当初の侍女になる計画は変更となりました。
レオノーラ様と入れ違いに入口でお姉様を待った。
「お姉様」私はローザリアお姉様に手を上げて合図した。
「! シルビアなの?」
「どう? 全然私って分からないでしょ?」
「ええ、びっくりしたわ」
「これで、最初は新規の3人とレオノーラ様の近くで様子をみるわね」
「分かったわ、私も予定通りにお茶会を進めるわね」
「後、アリシア様がまだ来ないのよ、何かあったんじゃないか心配だから、見に行かせてるの」
「分かったわ、じゃあ少し様子を見ながら始めるわね」
そう言ってお姉様と別れた途端、分身2から連絡が入る。
会場へ来る途中で侍女の怪我に右往左往している。アリシア様一向に出くわしたらしい。
私はすぐに何人かの護衛を連れてアリシア様のもとへ向かう。




