4人の候補者
バーゲン伯爵については、4人の候補者の家の者に接触して、どうにか関係を作ろうと躍起になっていた。
伯爵の所は女の子に恵まれず、娘の婚姻で得られる人脈づくりが出来ないのだ。
ゲンドリオ侯爵といい、腰巾着の2人といい、出世欲の強さや権力への執着の凄さは呆れる程だ。
自分の身の丈に、あったもの以上を求めて、そのためなら人を蹴落としても裏切っても平気な神経が私には分からない。
分からないし、このまま野放しはやがて大きな火種になりそうなので、何とかしたいと思ってしまう。
ああ、また自分の望みから掛け離れていく~。
「はあー」
なぜ、こんなに面倒な事を考えてるんだろ… 私。
なぜ、自分が出ていこうとしている国の為に汗をかいているのだろう… 私。
今すぐ、全部放り出して、早く国を出ていく事も出来なくはない。
でもそうしない最大の要因はフレデリックお兄様とローザリアお姉様だ。
私は2人が大事だし、大好きなのだ。
もう二度と会えない事になっても、彼らのこれからを少しでも幸せに出来る道を作る手助けをしたい。
それが不出来で自分勝手な妹のせめてもの、罪滅ぼしになると信じたいから。
気を取り直して、4人の候補たちの報告をみる。
1人目はアリシア様。
ブライトマン公爵家の令嬢だ、普通に見れば家格的に最有力候補になるだろう。
ただ、魔力優先でみれば4人のなかで1番弱い。
ただ、努力家なようで水魔法のほかに少しだけあった土魔法を訓練で使えるようになったらしい。
性格は負けず嫌いで勝ち気。
土魔法を習得するにはこの性格がいい方に働いたみたいだが、普段は少し我が儘な事もありマイナスに出てしまう事もしばしばらしい。
2人目はアドラム侯爵家のカミラ様。
彼女はとても聡明で穏やかな方らしい。
魔力量もとても高く、火属性魔法が得意だと言う。
3人目が伯爵家のカトリーナ・フロー様彼女はとても大人しく、何事も一歩下がっているような人柄だそう。
でも4人の中で1番魔力が、強く属性も3種類で火、風、土と扱うことができる。
最後のレオノーラ様はオルコット侯爵家のご令嬢です。積極的で歯に衣を着せぬ物言いをするらしく、アリシア様とはよく意見の相違から口論になるらしい。
普通は公爵家のアリシア様に、侯爵家のレオノーラ様が対等に口論するなど、咎められそうだが、候補者同士は平等を掲げており、尚且つ魔力の方が家格より重視されている。
レオノーラ様は魔力的にアリシア様よりは上なので、公爵家である彼女にも怯むことなく、ハッキリ物を言うらしい。
ここまでは、基本情報で今回スパイ(諜報)で得たものは…




