スパイ作戦途中経過
さてさて、一週間ほど経って、王宮の隅々まで噂は広まりました。
ある程度の家格が高い貴族の間にも着々と広まってます。
お姉様のところへも至る所から、サロンやお茶会へのお誘いがいつもの3倍は来てるとか…。
お姉様は情報をもらえそうな人たちを選んで出席の相手を決めているようだ。
もちろん噂の調整、軌道修正の為もあるらしいから、さすがとしか言いようがない。
確かに噂は尾鰭が付いて最初と全く違った内容になることもよくある。
私も例外ではなく、一応兄妹だしなんか探れるだろうと言う思惑が見え隠れしてきている。
今まで一度もなかった貴族達からのお誘いがドバッと増えた。
とりあえず、体調不良で全て断っている。
こういった時は引きこもり王女のあだ名が功を奏す。
そろそろスパイ(諜報)魔法の成果も収集していくか。
まずはイザベラ様だけど、まだショックから抜け出せずにいる。
本人は部屋に閉じ籠っているから、何か仕掛けてきたり、今回のミッションにも邪魔が入る事はなさそうだ。
ちょっと気になるのはイザベラ様の周りの侍女たちが今回の噂に騒いでいるところかな…。
要はフレデリック様の正妃候補が確定したときにその令嬢の家格によってお兄様の後ろ楯が強固になるだろう。みたいな話を貴族たちが話していた事を聞いて慌てているのだ。
エドワード様に早くいいお相手を選ばないから、お兄様に取られちゃうとか何とか…。
いやいやお兄様の候補に上がった時点でエドワードは手がだせないでしょ。
やっぱりイザベラ様についてるだけあって、侍女たちも常識知らずの残念な人たちだ。
一体どうやって王宮侍女になれたのか、この城の七不思議だわ。
ゲンドリオ侯爵は妃候補の情報収集を始めたようだ。
4人の他にもお姉様に推薦される可能性を考えて伯爵以下で魔力の強い令嬢がいないか、捜索もはじめていた。
もしイザベラ様のような突然変異的に魔力が強い女の子を見つけたら、手駒にしたいのだろう。
上手くすればまたお兄様の側妃にでもと企んでるのかも知れなかった。
ゲンドリオ侯爵の腰巾着たちも慌ただしい動きをみせていた。
ダルク侯爵は娘のミリア様をもう一度候補に戻すべく、周りに働きかけはじめた。
ミリア嬢は魔力はそこそこあったが、その言動に問題ありとして候補から外れていた。
貴族院も第二のイザベラを危惧してのことだった。
しかし父親のダルク侯爵はその現実を、なかなか受け止められないでいた。
どうにかして、候補者に戻す方法を模索している最中にこのお茶会の話が飛び込んできたのだ。
直ぐにゲンドリオ侯爵にお願いに走り、今もあっちこっちにお願い行脚中だ。
それより娘の再教育に勤しんだ方が早道な気もするが…。
娘そっちのけで父親が張り切りすぎでしょ
まぁ候補に戻ることは100%ないけどね。




