婚約者選び
お兄様の意外な一面を知って、妹としては一肌脱いであげないとね。
同じような条件の令嬢なら、やっぱり性格重視でしょうね。
とりあえずどんな女性か知らない事には、どうにもならないから先ずは見てみなくてはね。
「お兄様のお妃候補者達を1度に集めて観察してみると言うのはどうです?」
「お茶会でも、行いましょうか?
シルビア様が4人を招待しますか?」
キースが私を見て言った。
「いいえ、それではお兄様と同じ、上辺だけしかわからないわ」
私は頬に手をあてて少し考えます。
「キース、お姉様にお願いしましょう。
それと4人だけでなく、今まで候補に上がっていた他の令嬢もみんな呼んでもらうの。
そして一緒にこんな噂も流してくれる。
お姉様がお妃候補をもう一度選び直して推薦するかもしれないと」
「わかりました。シルビア様もその会に出席なさるのですか?」
「ええ、私はお姉様の侍女としてね」
「「え?」」
「だって私やお姉様に本当の姿をさらす令嬢はいないわよ。
しかももう一度審査されるかもしれないのよ?
だから、私は変装して侍女として潜り込むわ」
「なるほど、そこで候補者たちの様子を観るというのか」
「ええ、普通に面と向かって話すよりは何か違いや本音が見えるでしょ?」
2人はこの考えにまんざらでもない顔をしている。
「殿下、やってみましょう!
このままでは、埒が明かないですし」
「…そうだな… このままではまた貴族院から文句をいわれそうだし」
ああ、また貴族院の古株のタヌキたちから、嫌味でも言われたのかしら?
王様や王子といっても、全てを自分の意志のみで行動出来ないなんて。
祭り上げられて言いように使われているようで家族としては、同情を禁止得ません。
でも、そこなんだよね。
私たち家族だけで何でも決められるなら、私もここまで自分の事を隠す必要はなかったかもしれない。
なぜだか、この国では貴族院と言う存在の影響が大きい。
貴族院は公爵以上の国の中枢に携わってきた現役を退いた人たちで構成されている。
前宰相とか、前魔道士長とか、前騎士団長とか。
だから、現役の方たちが頭が上がらないうえに子供扱いされて説教されたりは日常茶飯事なのだ。
まあ良い面もあって、ゲンドリオ侯爵派にはなびかないし、今の王国が暴走するストッパーにはなっている。
貴族院がいたから、イザベラ様が今まで抑えられているのも事実だからね。
「よし! シルビアお前の提案に乗った!」
お兄様は力強く言いました。やっといつものお兄様らしくなってきましたね。
私はキースと顔を合わせて笑ってしまった。
「では、私の方からお姉様にお話をしに行きます。
それとキースさっき噂の件はよろしくね、それと幾つか注意事項を伝えるわね」
そう言ってキースとこれからの段取りを話し合い、私はその足でお姉様の所へ行きました。
あ! 言い忘れていましたが、今日も護衛だけ連れて行動してます。
お兄様が内密に相談が…って言ってきてたからです。
キースと話をしている間に護衛のルイスにお姉様の都合を聞きに言ってもらってました。
直ぐに伺っても構わないとの返事を頂き、早速お姉様の所へ向かいます。




