スパイ活動の結界
スパイ(諜報)の魔法を使うようになって、分かった事
この国は陰謀が渦巻いてる。
ゲンドリオ侯爵の周りには何とか取り入って、いい思いをしたい下級貴族や、有利な条件で侯爵家と繋がりたい他の侯爵家や伯爵家が日々行列をなしている状態だった。
それだけイザベラ様を養女にした後のゲンドリオ侯爵家は力を付けてきたと言う事だろう。
中でもエドワードの騒ぎの噂を聞きつけたダルク侯爵とバーゲン伯爵はエドワード様を立太子として、担ぎ上げようと説得を始めたらしい。
この2人はずっとゲンドリオ侯爵の腰巾着と呼ばれ何度となく黒い噂が出ている。
これまでも何度もエドワードを王にして裏で上手く操ろうと目論んでいたみたいだ。
しかし現実を分かっていたゲンドリオ侯爵は、決してこの話に乗ることはなかった。
ちょっとした事で足下を掬われる貴族社会の中で、この十数年貴族たちの上位部分を生き抜いて来たのは伊達ではないと言うことか。
このゲンドリオ侯爵の考えを知ってか知らずか、2人だけで盛り上がっている、ダルク侯爵とバーゲン伯爵は周りの野心ばかり強い貴族たちを唆し始めている。
フレデリック派の貴族にバレるとは思ってないのかしら?
スパイ(諜報)の数を増やしてダルク侯爵たちの動向も見張ることにしよう。
イザベラ様のところへも、下手なお世辞を言いながら自分の欲望を隠しきれていないような分かりやすいおべっか使いが大勢面会に現れるが、ご本人は全く気づいてないところがやっぱ残念な人だと改めて思った。
その中でも一番多い話しはやっぱりエドワード様を是非次期王位につかせるように、働きかけようとイザベラ様を唆す声だった。
毎日こんな話ばかり聞いていれば、その気になるだろうな。
イザベラ様の周りに群がる人々はよくも悪くも王宮の事に詳しくない、国の中枢から離れている貴族が多い。
だからこそ誰も大局の見極めなんて出来そうもない愚か者が列をなしているのだ。
そのような者達からの甘い言葉を聞いて、自分の置かれている立場も考えず、叶う事もないような夢を見てしまうのだろう。
だけど、今のイザベラ様はそれどころじゃないらしい。
ひとつは私の事でお父様に叱られた事が相当ショックだったようで、1人になるとずっとぶつぶつ愚痴を言っている。
今までお父様はイザベラ様を刺激しないように、彼女の言動にあえて何も言わないようにしていたらしい。
だけど、今回の事はさすがに目に余った行為だった様で珍しく激怒したらしく、そのときのイザベラ様は大きな声で叱責されたことに驚愕して倒れてしまったとか。
その上エドワードだ。
アイツもあれ以来グレまくっている。
相変わらずイザベラ様には反抗的な態度を取っていて、周りからは遅い反抗期と言われる始末だ。
この2つの事で頭が一杯のイザベラ様はとても気分の起伏も激しく侍女たちは迷惑を被りうんざりしている。
彼女たちはその原因を私にあるとして、逆恨みしている。
いい迷惑だわ




