家出準備と狩猟祭
私は急遽、イザベラ様の件より自分の家出計画を進める事に気持ちを切り替えた。
お兄様は大丈夫と言ったけど、いつ私の婚約話が持ち上がるかわからない。
マリアお姉様はもう嫁がれて、ローゼリアお姉様も昨年婚約が整っている。
エドワードが騒いだお陰で、お父様が考え出すかもしれないし、貴族院の方から提案をされるかもしれない。
皆が私の事を忘れていてくれれば、あと半年、1年は家出するまで余裕があったのに…。
エドワードの馬鹿の所為でとんだ事になった。
アイツがマザコンを拗らせすぎて、私のお母様を慕っていたのは、知っていた。
エドワードは私の中にマチルダお母様を見ているのだろう。
その上で私を自分に従わせたい、自分の物にしたいと言う願望は昔から、言葉の端々に見え隠れしていたのを私は気がついていた。
だからこそ、余計にアイツに関わりたくなかった。
前世なら執拗に執着をみせるストーカーと言った所なんだもの。
その上パワハラ、モラハラのオンパレードでドン引きなのに、王子と言う立場だから根拠のない自信と自分の言動から嫌われるって言う思考がないのよね。
こう言う立場ってホントに危うい。
自分を戒められて、客観的に見れないと足元を掬われるわよね。
それを思うとフレデリックお兄様はとてもしっかりご自分をコントロールしているし、王子と言う立場も理解し行動をしている。
多分父上がそれをサポートしているんだろうな。お母様と自分との間に出来た唯一の王子を愚王にしないようにしっかりと育てたかったのだろう。
その分エドワードに目がいかなったのは否めないけど。
そんな訳で時間の余裕がなくなった私は、数日引きこもりいろいろ考え、準備し、いつでも決行出来るようにした。
そんな時に狩猟祭の話が耳に入ってきた。
狩猟祭は収穫祭の前哨戦にも例えられるこの時期の風物詩だ。
何度か参加もしたけど… 今年はどうするかな。
まあ狩猟祭自体最後になるだろうし、兄妹でいられる行事もこれが最後かもしれない。
私はエマリアに狩猟祭の参加の意向を伝えた。
それにイザベラ様も参加すれば、アレクサに確認もしてもらえる。
これは大きな収穫だ。
出来れば、ここを去る前に真実は知っておきたかった。
それにお兄様を守るためにも、イザベラ様やゲンドリオ侯爵が継承権の争いに悪巧み出来ないように、叩いておきたかった。
その辺を調べるのってどうにか出来ないかしら?
アレクサといろいろ考えて、私は新たにスパイ(諜報)の魔法を確立した。
過去のことはにはあまり効果がないけど、今進行中の物事なら、調べられる。
これには私がアレクサと一緒にネズミや小鳥を作り出してスパイ活動をして貰う。
早速、侯爵とイザベラ様の周りを調べてみることにした。
あと、貴族院のほうも情報収集しておこう。




