エドワードの思惑
数日前のナタリー様のお茶会後、母上が何処かへ手紙を出そうとしていた。
たまたま部屋に行った私に気付かず母上が漏らした言葉「シルビアの婚約を本決まりに…」
オレはそれを聞いて慌てた。
シルビアはオレと婚姻するのだ!
すぐさま手紙を託された侍従を捕まえた。
何とか宥め透かして、手紙を奪い中を確認する。
するとガーゼリオ国の宰相宛の手紙で、シルビアへの求婚話をまとめてほしいと言う依頼だった。
すぐさま手紙は破り捨てた。
そんなことさせるか!
母上は、シルビアがいなければ、父上が振り向いてくれると思っている。
昔から耳からキノコが生える程聞かされた愚痴だ。
周りはオレが母上の言いなりでとんでもないマザコンだと思っているらしいが、そんな訳あるか!
母上に一番迷惑を被っているのはオレなんだ!
オレは父上を尊敬している。
でも、周りにバカにされている母上なんて…
母上の所為でオレをバカにしたり、侮っている貴族もいる事もわかっている。
だからこそ、シルビアが俺には必要なんだ。
出来損ないのシルビアを慈悲深いオレが娶って面倒みてやれば、父上もおれを認めるだろうし、オレをバカにしている貴族もオレを見直すハズなんだ。
だから、シルビアをガーゼリオなんて国に渡す訳にはいかない。
オレのジャマをするなら、母上でも許さない。
お読み頂きありがとうございます。
※作中の『耳からキノコががはえる』は架空のこの国のことわざです。
決して耳からタコを間違った訳ではありません




