隠されていたイザベラの真実
私は気を取り直して口を開いた。
「翌々年からは収穫祭は開かれたのでしょ? どうして花火は再開しなかったの?
遠いある国では死んだ人の魂を慰める為に花火を上げると聞いたことがあるわ。
お母様を想ってなら反対に上げることで、民に王妃を悼んでもらえるのでは?」
「なるほど。そのような考えを持つ国がありますか。
王妃様が亡くなったのに、不謹慎だからと言う事ではありませんでしたな。
単に今までのような大規模な花火を打ち上げるだけの火属性の魔法使いが足りなかったと言うことです」
「「え?」」
私とお兄様は顔を見合せます。
「ルカルク、花火を上げる為にイザベラ様が協力していたと聞いたが?
あの方の魔力量なら普通の魔法使い10人分や20人分補えたのではないのか?」
「はい、確かにそれまではイザベラ様が1人で花火を打ち上げて下さっていました」
そこでルカルク様はちょっと考え込んで、息を吐き出しました。
「これは、機密事項です、本来はお話するには、陛下の許可がいります。」
私達は息をのみます。
一応部屋の中には私達しかいません。
護衛は外の扉前です。この部屋には会話を盗み聞き出来ないように盗聴防止の魔法もかかっています。
でも、機密と言われると無理には聞き出せません。
「なので、これはじいさんの独り言だと思いこの部屋を出たらお忘れ下さい」
ルカルク様は絶対に漏らさないように釘をさしつつも、私達2人を信頼してくれました。
私達が頷くのを見て、話し始めます。
「イザベラ様は王妃様が亡くなった頃から、魔力量が極端に減ってしまわれたのです。
今では魔法使いの平均値と変わりますまい」
「それを知っているのは?」
「この事実を知られた陛下はすぐに箝口令を引かれました。なので国王陛下と魔法省の幹部のみかと。」
私は思ってもみなかった話に言葉を失った。




