イザベラの独り言
まったく、忌々しいあのシルビア!
顔を見るたびに、憎らしくて仕方がない。
春に行われた16歳の誕生日パーティーで初めて髪を結い上げて着飾ったあの娘を見て戦慄した。
マチルダ妃が現れたかと思う程生き写しだ。
上の二人は陛下に似た金髪とサファイアのような青と称される瞳をもっている。だが、シルビアは… あの娘はマチルダ様と同じ栗毛色の髪と紫水晶のような瞳をもっている。それが余計に似て見えるのだ。
陛下が驚いていた。
「マチルダと初めて会った頃を思い出してしまったよ。シルビアは我が妻によく似てる」
そう言ってあの娘をやさしく抱きしめていた。
悔しい! なんで?
いつまで待てばいいの?
マチルダ様は死んだのに…
いつまで待てば陛下は私を見てくれるのだろう。
ガーゼリオ国に手紙を書こう。
早くシルビアの婚約の話を正式に申込んでもらわないと。
あの娘をすぐにでも追い出してやりたいもの。
義父のゲンドリオ侯爵から、ガーゼリオの噂を聞いてすぐにあちらの宰相に繋ぎを取ってもらった。
第2王子はもう2人妃を迎えているらしい。
しかも2人とも魔法が得意で王子の悪巧みに使われているとか。
シルビアも平民よりは魔法は使えるのだし、一応奴隷よりはましな生活が送れるでしょうよ。
この国に置いとくのは、嫌だから何とか目の届かない所へやりたい。
間違っても私のエドワードと婚姻なんて、認めない。
エドワードは、何として次の国王になってもらわないとね。
その隣には、相応し相手を私が見つけてあげるのよ。
誰にも邪魔させない。
あの子は私と陛下の子なんだから、あの子こそ次期国王にふさわしい。
ふふふふ…




