第一話 悲しみの城
大切な人達を失った次の日って、どんな感じなんでしょうか…。
「…かなり、被害は大きかったな…。」
「…………。……はい」
静かな部屋。
押し殺された涙の音。
一昨日の突然の来襲…。
「…ねぇ、オーディン様ぁ……」
「なんだい、千佐…」
生き残ったのは、四人。 一人目、千佐。紅い髪のボブの少女。黒天使だ。
「…もう、みんな戻ってこないの…?」
少し前まで、賑わっていたこの城。しかし、今は……
「…。」
返す言葉が見つからなくて、また沈黙が続いた。
「千佐、目をつぶりなさい」
二人目、ベル。ピンクの長髪で、黒天使。
「…え…?」
「落ち着くの。今は、ただ…」
「分かった…」
突然、扉が開き、一人の青年が入って来た。三人目の生き残り、白夜。黒髪の長髪で、白天使。
「オーディン様、報告します。……死者は、黒天使が四万六千二十九人、残ったのは二人。白天使が五万三千二人、残ったのは…私だけです。…あの後、クラリスは行方をくらましましたが…おそらく、傷を癒しているのかと思います。…報告は、以上です。」
「そう、か…有難う、白夜。すまない…皆を…守れなかった……。」
「いえ、オーディン様が無事だっただけでも…」
「そうですよ…それに、守ってくれたじゃないですか…私達を。」
「………。皆を束ねると…いつも、取りこぼしてしまう…。前も…今も。」
「………」
四人の顔から悲しみの色は消えなかった。
「しかし…何故クラリスは、あんな事を…?」
同じ天使。その色は違うものの、戦う理由は見つからなかった。
――――コロシテヤル――――
冷たい言葉。冷たい――あの瞳。
「……どうして」
何よりも冷たかったのは、彼女の心だった。
生き残った天使達。 オーディン、ベル、千佐、白夜。 次、それぞれ の物語。