悪戯にも全力で取り組む所存・1
お昼休みにお弁当と言う名の重箱をもって向かうのは生徒会室。
今日は昨日から伯母さまと伯父さまが仕事で出かけているので従兄の各務 雪兎兄さまの分のお弁当も入っているので重箱なのだ。途中で颯哉兄さまにあったので一緒に行くことにする。颯哉兄さまこと左雨 颯哉。現在の生徒会長で私と雪兎兄さまとは幼馴染で私にとっては雪兎兄さまに並んで兄のような存在だちなみに一つ上だ。小さいころ末っ子だった颯哉兄さまは兄と言う存在に憧れてたのと私が雪兎兄さまと呼んでるのが羨ましかったらしく「那桜、僕の事も兄さまって呼んで欲しいな?」って言われて以来颯哉兄さまと呼んでいる。そしてこの二人の兄さまはやりたい事があるからと去年の選挙で生徒会役員になった兵でもある。人気投票的に生徒会役員になったと美南が言っていたが二人ともかっこいい部類なのでそれもあるだろうと思った。
「那桜いらっしゃい」
生徒会室の中に入ると準備をしていたらしい雪兎兄さまがいた。
「うむ。いらしたのだよ。今日のおかずは雪兎兄さまの好きな甘めの卵焼きが入っているのだよ」
「那桜のお家の卵焼きの甘さが好きなんだよね~うちのとちょっと違うんだよなぁレシピは同じはずなのに何でだ?」
「うむ。料理長は私たちを思う愛情がたくさん入ってると言っていたからその分量じゃないかと思うが?どうだろうか?」
「愛情・・・料理長の愛情・・・微妙だな」
「ふむふむ。確かにスキンヘッドのおっさんの愛情は微妙かも知れんが美味しければいいだろうと思うのだがね」
「確かにそうだね・・・那桜は緑茶でいい?」
「あ、颯哉俺も緑茶~」
「はいはい」
「ありがとうなのだ颯哉兄さま。颯哉兄さまの好きなチキンの香草焼も入ってるのだ。一緒に食べるのだよ」
「ん。ありがとう那桜」
机の上にお重を広げる。今日はサンドイッチの入ったランチボックスとお重三段重ねだ。「高校生男子ならこれ位いけまさぁー」と料理長が言っていたから大丈夫だろうたぶん。
「あ。那桜。お爺様の誕生日プレゼントはもう用意したの?」
「してあるのだ。雪兎兄さまも準備は終わってるのかね?・・・夏葵兄さまは今年は普通のプレゼントだと良いのだが・・・」
「あぁ・・・夏葵は・・・どうだろうな・・・」
「お爺の心臓が止まるような物じゃなければいいな・・・去年は狂乱・・・」
「那桜ストップ思い出させないで!!」
雪兎兄さまにストップを言い渡されたのだ・・・まぁアレは思い出すと酷い。長瀬 夏葵は私と雪兎兄さまの従兄に当たる。私よりも6歳上の現在大学生。突然「俺は魂の叫びを爺さんに捧げるぜ!!」と去年は突然デスでメタルな曲を奏でた・・・エレキなギターでシャウトしてハウリングを轟かせ奏で歌った・・・だが音割れが酷く旋律はかなりズレていて騒音だった。私は耳をふさいでも頭に音が響き過ぎて気が遠くなりそうになり他の従兄弟たちも耳をふさいでぐったりしていた。お爺と伯父や伯母たちはキレた。だが耳をふさいぎながらなので色んな意味で怖さ半減だったそれから始まる説教大会が凡そ3時間ほど続いたらしい・・・私は眠くなったので途中で帰ったがね!
夏葵兄さまは今年は普通にお祝いしてほしいと思う。彼の感性はちょっと昔からズレているので期待しないでおこう。きっと今年も予測の斜め上を行くだろうおそらくはきっと。
ふと机に置かれた企画書?が目に入った。
・・・・・・・・・ん?
「雪兎兄さま颯哉兄さま・・・この企画書って悪戯ようなのだが?」
これが生徒会企画だったら学校崩壊にならんかね?
「ん?あぁこれはただの悪戯だよ?最近調子に乗ってるからね・・・ちょっとね?」
「生徒会の企画じゃないから安心してね?」
雪兎兄さまから真っ黒い何かが出てる気がするのだが気のせいだろうか?颯哉兄さまが生徒会企画じゃないと言うならただの悪戯なのだろう・・・ただの悪戯で済むかは分からんがバレなければ大丈夫だろう・・・と思う。
企画書を目で追うと何とも面白そうな気がしなくもない。そして発案者の欄を見ると・・・我がクラスの担任とその悪友の名前が記載されている。これは・・・ただの悪戯ではないだろう・・・ふむふむ私も仲間に入れてほしいのでクルリと兄さま二人を見る満面の笑顔付きで。
「私も仲間に入れてほしいのだ。楽しそうなのだ!!私もやりたいのだ!!」
企画書を掲げ勢いよく宣言した。だってこれは絶対成功したら面白いじゃないか!!だから絶対仲間に入れてもらわねばならぬのだ。
そんな私の勢いを見た雪兎兄さまはとってもいい笑顔で了承してくれた。颯哉兄さまは苦笑いでもって危険だと思ったら逃げるんだよ?と言って了承してくれた。
とても楽しみなのだ。