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幼馴染の少女の憂鬱

葛城美南はスマホのSMSツールを開いてメールを確認すると溜息をついた。

分かってはいても気落ちするのは仕方ない。彼からの週末の予定を断るメールが入っていたからだ。

部活で活躍する彼が好きだし応援もするけれど學校が違うのであまり頻繁に逢えないのが辛い。同じ高校を選べなかったのだから仕方ない・・・だって彼の選んだ学校はサッカーの強豪校しかも男子校だ。一緒に居たくても流石に性別の都合上どうしようもない。

溜息を吐きつつ教室へ戻ろうとして制服のポケットに入っているチラシを探る。週末は久しぶりに逢って行くはずだったのに恨めしくチラシを見る。二人とも甘いものが好きだし二人で行くのを楽しみにしていたカフェのチラシ・・・オープン記念のオリジナル限定パンケーキは今週末までだし本当に一緒に食べるのを楽しみにしていたのにと思ってしまうのは仕方ないだろう。

仕方ない本当に仕方ないので味を確かめて美味しかったら彼へのお土産・・・差し入れに買っていこうと幼馴染の変わり者の少女を誘おうと教室へ戻れば聞こえてくる絶叫。


「ちょっと待ってぇ!!この先どうなるんだぁぁ!!何でここで以下次巻に続く?!それは無体だろう!!これからどうなるって言うんだみつおぉぉぉぉ~~~~~~!!」


あぁまたかあの娘は・・・どうして普通にできないのだろうかと思う。見た目は極上なのに性格は残念使用な変人・・・喋り方は古臭いというかちょっとオッサン染みているところがある。

その為に初めて見た人は彼女に憧れを抱くが中身を知れば一気に観賞用へとジョブチェンジされる。

本当に色々と残念な少女なのだ各務那桜と言う幼馴染の少女は。


机の上に置いてあった教科書を丸めて頭をかきむしる那桜に向かって振りかぶる。躊躇なくフルスイングで殴る。遠慮なんてない。だってこの子はこれくらいしないと止まらないのだから。


「何をするんだね?!美南さん?!頭が割れたりもげたらどうする気だね?!」


「どうもしないわよ?って言うかこれ位で頭が割れたりもげるわけないじゃない」



さらりと返せばちょっとむくれる那桜は普通に可愛らしい口を開かなければだが。

周りを見てやっちまった!!と理解したのか


「いやぁ皆スマンちょっと漫画で超いいところで続くになって興奮してしまったのだよ。騒がせてホントに悪かったのだ。気にせず休み時間を満喫してくれたまえ」


キリっとした顔で言った那桜に生温かい目と笑いで散っていくクラスメートにを目にして那桜は安心したのだろう。

チラッとこちらにに目を向けてきたので呆れてしまう。とりあえず理由位は聞いてあげようと思った。


「って言うかアンタは突然何叫びだすのよ?みつおって何よ?」


「ん?何だね美南さんは気になるのかね?みつおはこの少年漫画の主人公でとてつもなく不運な奴でな・・・なんか微妙に共感できる部分もあってな・・・美南そっくりの友達がいてな・・・それが夏生と言うんだけどね。今からその親友の夏生のた「あ、それはどうでもいいわ私興味ないし」・・・話を振って置いてぶった切るって酷いよ美南」


「何故だ!!??自分でみつおの事を聞いてきたんじゃないのか!!酷いよ美南。」


思ってる事が駄々洩れに口から出ているのに気づいていないのかボロボロと不満が出ている。


「酷いよ美南じゃないわよ。あんた心の中身もダダ漏れになってるわよ」


「う~む?それは、心の声を口に出してるからねせめてもの心遣いなのだよ」


「いらない心遣いするんじゃないわよ」


それは本当に要らない心遣いだし絶対気付かず口に出してただけだろうと丸わかりだ。そういうところは本当に変わらない。そこが安心するところだが微妙に心配になるところでもある。知らず知らずに騙されそうで心配になるが絶対にそんな事は言わない。


しょぼんとこっちを見るがをふんっと鼻で笑ってやった。

それよりも私は聞かなきゃならない事があったのを思い出す。


「そんな事より那桜。今日の放課後って何も予定とか無い?」


「ん?ん~~」


取り出した手帳の予定表を確認する那桜。忘れがちだがこの子はお嬢様なのだ。黙っていれば確かに高貴さが滲み出ている。口を開けば残念感が駄々洩れるのだけれども。

確認が終わったのか顔を上げてこっちを見てくる顔は本当に美少女なので本当に色んな意味で残念な子だ。


「うん。今日は何もないのだよ。明日はお爺の誕生日のパーティがあるから出ねばならんがね」


「あぁ・・・そういえばそんな時期だったわね。それなら今日はこれに付き合ってよ」




ペラリと出したのは数日前にオープンしたカフェのチラシ、目にも可愛らしいパンケーキの写真が載っている。

チラシを前に首をかしげている・・・言いたい事は大体分かる。ちょっと前にその話はしたのだから覚えているだろう。頭は悪くない寧ろとてよいのだいつも学年トップに居るのだから・・・残念な性格故に忘れがちになるのだけれども。



「ん?でも美南はこのカフェに彼氏殿の行くとか言っとらんかったかね?私の記憶が確かなら」


「あ~言ってたわよ?言ってたけど行けなくなったのよ。アイツ中学からサッカー部に入ってるでしょそれで今年は一年ながら選手に選ばれたのよ。で、大会前に練習試合組んだから練習が大変だって・・・美味しかったらテイクアウトして差し入れって事でお土産に持っていこうと思って」


「フムフム・・・青春じゃの~美南が可愛く見えるのだよ」


にやっとこちらを見てきたので殴って置いた・・・・・・・・・馬鹿め。



「分かったのだよ・・・だけど照れ隠しに殴らないでおくれよ。私の脳細胞が死滅したらどうする気だね?!」


「ふっ・・・アンタの脳細胞なんてかなり図太いでしょ?殴られてくらいでどうにもならないわよ。それに照れ隠しじゃないわよ。余計な事を言うとその口・・・縫うわよ?」


何でこの子は一言二言多いのよ。なのでつい照れ隠しで物騒な事を言ってしまった。

本当にやったりしないけれどね。


最近特にこの子恋愛とかどうなのかしらとちょっと心配になる事がある・・・恋愛回路が死滅してるんじゃないかと心配なのだ。

恋愛のれの字も出ない。好きな相手の話も出ない。本当に女子高生なのだろうかとちょっと考えたがあまり余計な事を言うつもりはない。だって那桜の背後には真っ黒い魔王がいるからね!!


それよりもあの子が余計な事を言わないようにと祈りながら放課後のカフェを楽しもうと思った。


ある種の苦労人美南さん。

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