8話〜新しい取り組み〜
“トンットンットンッ”「テルー任務ー」
(? 2人来たかな)“ガチャ”
「おはよう、さて行こうか」
「卵ぉいくぅ」
街から戻ってきて数日、いつも通りの朝を迎えている。今日は週に1度のミトとノノを連れての卵採取の日だ。
「テルなんか見えるー」「たおれてるぅ?」
(? 〈サーチ〉……生き物の気配は感じない)
「コッカトリス?」
「2人はここで待ってて」
(……死んでいる、この無数の傷は? コッコ達は無事だろうか?)
「テルぅ?」
「コッカトリスだったよ、魔蟲にやられたみたいだ」
「……」
「コッコ達が心配だ急ごう!」
コッカトリスはコッコ達にとって守護者のようだった。卵を貰っていたぼくたちには有難い存在だった。
「テルー、マンティスー」
「2人とも戦える?」
「任務ー!」「ノノもぉ」
「ぼくの短剣を1本ずつ使って! 〈ディフェンス〉」
「やーっ!」“キィン”「とぉ」“ガキィン”
(今のうちに、コッコ達は? “バッ”……無事だ!)
「えいっ!」「とぉ」“キキィン”[キョッギィ]
「2人共離れて!」“ババっ”「〈ファイヤアロー〉!」
[ギギョッギィー]「今だよ!」
「おっけぇ、やーっ」「とぉ」“ズババッー”
「うん、やった! 2人共さすがだね!」
「へへんっ!」「えへぇ」
「卵はー?」
「うん無事だったよ、貰って帰ろう」
「おっけぇー」「はぁい」
(コッコ達これから大丈夫かな……)
これからも生活に卵は欲しい。今日は3人でコッコ達の敵になりそうな魔蟲を退治してから村へ戻った。
「心配したぞ!何かあったのか?」
「ごめんノト、3人で魔蟲退治してたんだ」
「任務がんばったー」
「? 大量発生でもしてたのか?」
「いや、実は………こんな事があって」
「なるほどな……わかった、今後はあの辺りの見廻りも3兄弟に頼むとするか」
「うん……それよりもさ、村で飼えないかな?」
「それがいいかもな……広場に離すか?」
「畑の奥にコッコ用の家建てるのはどうかな?」
「なるほどな、わかった長老にも相談してみよう」
「うんお願い! ぼくはテツに相談してくる」
コッコ達も魔獣には変わりないが、穏やかな性格で卵を貰っても怒る事もない。村で飼っても村民に害することはないだろう。
「おーテル戻ってたか! ノルが探し回ってたぞ?」
「うん、もう子供達は帰したから大丈夫」
「なら良かったが、なんかあったのか?」
「うん、………って訳でさ」
「なるほどな、じゃーその家を建てりゃいんだな?」
「うん、頼める?」
「あー任せろ! そんじゃマサに手伝わすか!」
「マサには別で頼みたい事があるんだ」
「そうか人手がいるなー、長老に頼むか」
「ノトが今相談しにいってくれてるよ」
「それじゃ俺らも行くか!」
「テツ先に行っててよ、ぼくマサに別の事頼んでくる」
「わかった、マサなら鍛冶場だ」
「うん」
(コッコ達の住処はテツに任せるとして、コッコ達を連れてくる方をマサにお願いしよう)
“ガチャ”「マサいる?」
「あっテルさん! こんにちは!」
(! これは!)
「見てください! どうです!……どうでしょうか?」
「すごいよマサ! これ2輪車? 走るの?」
「あとは車の魔道具付ければ走るはずです!……あの魔道具作り手伝ってもらえませんか?」
「うん、手伝うよ!」
「やった! では早速!」
「あっごめん、今日は別のお願いがあるんだ……」
「そうなんですね……えっとそれで?」
「あっうん、………こうゆう訳でね、檻の荷台を作れないかな?」
「どのくらいの大きさですか?」
「コッコが30羽くらい入れば……無理かな?」
「動力は車と同じにしますよね? 大きくなり過ぎちゃうかな」
「動力はいらないよ、今の車と連結して引っ張るよ」
「なるほど、わかりました! やってみます!」
「ありがとう、それじゃ頼むね! ぼくは長老のとこに行ってくる」
「はい!」
コッカトリスがやられてしまった事で急遽思いついた養鶏計画。子供の頃ヒカルと過ごした孤児院で鶏を飼っていた事を思い出す。
「こんにちは長老!」
「テル来たか、長老も賛成してくれたぞ」
「テル殿、新しい試みみな喜んで協力するでしょう」
「ほんとですか? 助かります」
「それでテル、俺はどんな家建てりゃいんだ?」
「そうだね、家と言うより広めに柵を作って、畑側に卵を産む用に小屋を建てるくらいかな」
「なるほどな、その程度なら数人の手伝いがありゃほんの数日で出来そうだな」
「それなら、畑仕事だけで物足りてない者たちに声かけておきましょう」
「あー長老助かるよ、で、マサには何頼んだんだ?」
「うんマサには………、そんな感じに」
「街行ってやたら車気に行ったみたいだからな、あいつ喜んでたろ?」
「うん、そうみたいだね」
「では、それらが出来上がるまで、コッコの丘の警護は俺がやろう、長老、3兄弟も」
「うむ、伝えましょう」
「うん、なんとかなりそうだね!」
「そうだな、あとの事はコッコ達を連れてきてから考えればいいだろう」
「そうですな」
「それじゃ今日んとこはここまでか?」
「今日は解散だな」
孤児院ではぼくとヒカルで鶏の世話係をしていて、ぼくはそれが楽しかった。この村にもきっと……。
おざきです
貴重なお時間をわたしにいただき感謝します
お読みいただきありがとうございました♪