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5話〜フール村⑤「特産品」〜

「おはようノト」


“ブンッザッブブンッ”


(…今日も鍛練に勤しんでるなぁ)

「ノト、おはよう」


“ブブンッブワッジャリッブワッ”


(……)

「ノトッ!おはよー!!」


“ブンッ”「!…おうテル、来たか」


「…う、うん」


「?どうした、何かあったのか?」


「いや…って、もう準備は出来たの?」


「あーもちろんだ、テル一緒に確認してくれるか?」


「うん、行こう」


村の中心地にはノトの家と別に貯蔵庫がある。数年前から、村の人達で必要な分以上に出来た物をここに集めて置いてるんだ。


「どうだ?テル」


「だいぶ増えてるね、みんながんばり過ぎじゃない?」


「そうでもない、みな楽しんで作ってる様だぞ、むしろ

 もっとやりたがってるくらいだ」


(この世界には娯楽がほぼないからな)

「それならテツとまた新しく作ろうかな?」


「そうだな、みな喜ぶだろう」


“タッタッ”「つれてきたよー」


“カッカッ”「こんにちはー!いやー遅くなりましたー」


「おお、マルス来たか!」


「マルスさん!こんにちは、ミト任務ありがとね」


「任務完了ー、広場であそんでくるー」


「ふむふむっ、いやーいつ来てもここの物はすばらしい

 ですなー、!おーこの絹織物の色は初めてみますな、

 !これも、いやーほんといい品だ!」


「マルス着いたばかりであろう?少し休んでからで構わ

 ないぞ?」


「いえいえ、昨日の夕方には着く予定でしたが馬車の車

 輪が壊れましてな」

「近くで1泊野営してきたので」


「そうか、では済ませてしまうか」


「マルスさん今日はここで1泊していく?」


「すみませんテルさん、お願いしてもよろしいでしょうか?」


「はい、それじゃぼくは用意してますので」


「いやー、お手数おかけしますー」


この貯蔵庫に集めてある物は、年に4回訪ねてくるマルスさんに売っている。マルスさんは、以前ヒカルと魔王討伐に向う際に、討伐隊に物資支援をしてくれた隣の国の商人だ。今は行商人をしているらしい。


“コンッコンッ…ガチャ”

「テルさんお邪魔しますー」


「もう商談は済んだんですか?」


「はいーお陰さまでー!」

「ほんとこの村で作る物はどれも品質が高い!」


「ありがとう、みんな喜びますよ」


「いえいえー、お世辞ではないですよー!」

「この村でしか手に入らない物も多いですからね」


「そう言ってましたね、普通だと思いますけど」

“コトッ…カチャッ”

「どうぞ」


「ありがとうございますー」

「コーヒーと…これはパンですね?初めてみるパンの食

 べ方ですねー」


「フレンチトーストです、食べた事ないですか?」


「?聞いた事もありませんなー」


(そういえば村のみんなも最初珍しがってたな)

「そこのメープルシロップをかけて食べてください」


「!高級なシロップをー?いいのですかー?」


「えっ?どうぞ、かけた方が美味しいですよ」


「…いただきますー」


(甘いもの苦手なのかな?)


「!美味しいー!」

「このしっとりふわふわ感!どうやってー?」


「パンに卵を浸して焼いたから?かな?」


「なんとー?これ卵なんですかー?えっ?」

「い、いやー、相変わらずこの村は贅沢ですねー」


「あははっ大袈裟ですよマルスさんは」


数年前に街を訪れた際、行商に来ていたマルスさんと再会した。ぼくたちの着ていた服に興味を持ち、ぼくたちの村について来たのがきっかけだった。


「ご馳走様でしたー、いやー美味しかったー!」


「よかったです!」


「いやーそれにしてもー、勿体ないですなー」


「何がですか?」


「いやー…この村の商品や食べ物ー」

「帝国領の街で商売されたらー、大繁盛ですよー」


「ほんとですか?」

「でもぼくはこの村でのんびり暮らすのが楽しいです」


「村長さんも似た様な事言ってましたねー」

「まー、この村は贅沢な暮らしぶりですからなー」

「街に興味示さないのもー、納得できますー」


「ですから大袈裟ですって、マルスさんは」


「まー、そのお陰様でー」

「商売させていただけてますからねー」


「それならよかったです、村のみんなも物作りを楽しん

 でるみたいなんで!」


「いやー、それは何よりですなー」


“ガチャッ”「テル、マルスが来てるのかー?」


「!テツフルさんー、ご無沙汰してますー!」


「おー、いるじゃねーかマルス!」

「来てるなら早く読んでくれりゃいーだろ、テル!」


「ごめんごめん」


「とにかく飲もうぜ、なっマルス!」


「いいですねー!」


「テル、酒!」


「はいはい」

「あっ、これしかないからノルに貰ってくるよ」


「おっそうか、すまねーな」


「すみませんー」


「ううん、先に始めてて!」

「ノトと長老にも声かけてくるよ」


長老達の前の集落は今、デビルワームの巣になっている。ワームがモスへ成長する過程で作る繭を原料に作っているのがこの村の絹織物だ。絹織物はこの村にしかないらしい。


“ガチャッ”「おまたせ!」


「おーノト!飲もうぜ!」


「まったく、テツはもう出来上がってるのか?」


「わっはっは、おーノルも来たか!」


「ノルくんー、このお酒も売って貰えませんかー?」


「ほんとですか!マルスさんに認めて貰えて嬉しいです!」


「この村の物はー、他国の貴族に人気ですからー」

「今ではー『幻の村の品』と言われてー」

「貴族のお得意様達で完売しますからねー」


「そうであろう?ここにはテルとテツがいるからな!」


“コンッコンッ…ガチャ”「お邪魔します」


「こんにちは!」「来ましたよ!」「どうも!」


「長老!こっちだ、飲もう!」


「3兄弟まで来たのか、ここじゃ狭いな」


「そうだな…河原で宴にするか!」


「いいですねー!」


「わっはっはー、そうするかー!」


「やった!」「いぇーぃ!」「みんな呼んでくるー!」


“ワィワィ”“ガャガャ”


この村で作った絹織物や、メープルシロップは幻の村の特産品として人気みたいだ。ノルの作るコーンの酒も幻の村の新商品として特産品に加わるようだ。


おざきです

貴重なお時間をわたしにいただき感謝します

お読みいただきありがとうございました♪

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