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3話〜フール村③「村長」〜

(ふーっ、畑仕事もこんなとこかな)


“タッタッタッタッ”「テルぅ」“タッタッ”


(ん?ノノ…とミトも一緒だな)

「2人で手伝いに来てくれたのかい?」


「うん、じぃじのおてつだいぃ」


「テルを呼びにきたよぉ」


「ぼくを呼びに来てくれたのか?2人共ありがとね、ノ

 トの家に行けばいいのかな?」


「そぉミトも一緒にいくよぉ」


「ノノもぉいくぅ」


「そっか、それじゃみんなで行こう」


(ノトは真面目だからなぁ、また何か悩みかな?)


この村はノトが家族と一緒に暮らす為、ぼくとノトで2軒の家を作り家族を迎えた事で出来た。その際に街からミミとその家族がついて来て、ぼくとノト家族、ミミ家族での共同生活を始めた。


「じぃじぃ、テルぅきたぁ」


「任務完了だよぉ!」


「うむ、よく出来た!褒美をリリから貰ってきなさい」


「おっけぇ!」「はぁい」


「すまんなテル、聞きたい事があってな」


「うん、どうしたの?」


「うむ、テルの鞄の肉の蓄えはまだあるか?」


「魔獣の肉はもうないね、食べたいの?…あっ、フロッ

 グの肉なら結構あるけど、いる?」


「今はいい…俺もそうだが、村はテツ達以外はみな獣人

 族だろ?食べ物に困る事はないが、やはり魔獣の肉を

 求める者が多い」


(そういえば山菜なんか採りに行っても魔蟲にしかあっ

 てないな)

「この辺り魔獣少なくなったよね?今度山の向こうまで

 遠出してみようか?」


「そうだな、最近はハンター3兄弟も蟲しか取って来な

 いからな、あれは食えたもんじゃない」

「無い物は仕方あるまい、少し村を見て廻るか」


「うん、ぼくも行くよ」


ここに暮らし始めて半年経った頃、ノトと2人で山奥へ狩に出た時に、怪我をした獣人と怪我人を手当てする2人の獣人に出会った。その彼等が3兄弟なんだ。


「長老!どうです?工房の方は?」


「ノト殿か、もういつ《マルス》が来てもよい、織物の

 準備は整っておるよ」


「長老のとこはみな働き者だからな、助かる」


「何を言うかノト殿、おまえさんやテツフル殿ほど村に

 貢献出来ず申し訳なく思っておるよ、テル殿にもな」


「!いえ、ぼくはとくに大した事は…みなさんのおかげ

 で自由に楽しませていただいてます」


「テル、ノルの酒があっただろ?」


「あっそうだ!長老さんこれ、ノルの新作のお酒です、

 良かったらみなさんで飲んでみてください」


「それはありがたい、みな喜ぶ」


「兄弟達は今日も狩に出ているのか?」


「今日は元の集落に繭を取りに行っておるよ、もう戻っ

 てもよい頃だが、まあ心配はいらんだろう」


(繭取りに行ってるのか、あとで少しわけて貰おう)


「そうか、では後日マルスに卸す織物を取りに伺うよ」


「奥方にも改めてよろしくお伝えください、いつもパン

 を焼いていただき大変ありがたい」


「伝えておきます」

「そろそろ戻るか、テルはこのまま帰るか?」


「ノトの家に寄って行くよ、フロッグの肉いっぱいある

 から置いてから帰るよ」


「そうか、すまんな」


3兄弟と出会って数ヶ月経った頃、3兄弟が集落の子供達を連れここへやってきた。集落がデビルモスの大群に襲われてる為、避難させてほしいとの事だった。


「村長ーっ、オレンジ届けておきました!」


「あっ、村長!綿で子供の服作ったので、お孫さん達に

 もよかったら着せてください」


「村長ーまた槍術の稽古お願いします!」


「あっ村長…」「ねぇ村長…」「村長!…」


(ノトはほんとみんなから慕われてるな)


ノトと集落へ駆けつけると、想像以上の大群だったため集落のみんなを連れ帰る事になった。ノトが中心となりみんなの仮の住居を作り、槍術を教え数週間を過ごした頃、長老から集落へ戻らず、ここで暮らして行きたいと頼まれた。


“ダダダダダダダッ”

「村長ーっ!」「村長大変だ!」「大変なんだ!」


(3兄弟?ずいぶん慌ててるみたいだな)


「どうしたんだ?何事だ?」


「やばいっす!ハァハァ、超大型のファングボア2頭が村に

 突進してきます!俺達じゃ止められなくて!」


「なんだと!わかった、行くぞテル!」“ダッ”


「うん、急ごう!」“タタッ”


「お前たちも来てくれ!」


「はいっ!」“ダダッ”


(〈サーチ〉コーン畑の方にくる!かなり大きいぞ)

「コーン畑を抜けた奥に向かって来るよ!」


「あの粉塵だな!」


“ダダダダッ”(開けた場所…あそこがいい)“ダッ”

「ノト!ここで迎え打とう」


“ダダッ”「わかった!」


“ドッドドドッドドドドドッ”


「来るぞ!テル!」


(勢いを抑えなきゃ危険だ)

「うん!〈アースウェーブ〉!」


“ドッドッドッ”


(よし!うまくいった)


「今だ!俺が右をやる、お前たちは3人でそっちを頼

 む、正面から行くなよ?」


「横から脚っすね!」


「はあっ!」“ズバッン”[ブギィー]“ドッドズン”


(さすがノト、槍で脚を薙ぎ払って倒した!)

(あっちは?)


「倒れろーっ!」“ザシュッ”“ドシッ”“ズカッ”


[ブッブギィー]“ドッドッドッ”


(足りてない、今ウェーブ打つと巻き込んじゃう)

(そうだ、ボアの足元に)

「〈シールド〉!」“ドン”


[ブッギィ…]“グラッ”


「たっおっれっろーっ!」“ズババン”…“ドシーン”


(よかった、もう大丈夫だな)


ぼくは最初からみんなを受け入れる事に反対するつもりも無かったんだけど、ノトはみんなの先頭に立ち、ぼくや家族達に頭を下げた。こうして村は少し賑やかになったんだ。


「よし、お前たちもよくやったな!テル、魔石の回収を

 頼めるか?」


「俺達こんな大物初めて仕留めましたよ!」


「なっ!やったな!」


「ってことは、村長?」


「そうだな、お前たちの仕留めた獲物で宴にしよう!」


「やったー!」


「みんなを広場に集めようぜー」“タッタッタッタッ”


「あいつを獲物を置いたまま…すまんテル頼めるか?」


「〈アイテムバッグ〉“シュン”それじゃ広場だね!」


賑やかになった村は、ノトを中心に畑を広げたり、みんなで狩に出たり、大物を狩っては宴をしてるうちに、気がつけばノトはみんなから村長と呼ばれていた。


“ワィワィ”“ガャガャ”


「これはすごい大物だな、さすが村長!」


「いや、これは3兄弟が仕留めた獲物だぞ」


「へっへっへ」「どんなもんだ!」「ふふんっ!」


「3兄弟がこれを?大したもんだなー」


「村長とテルさんに手伝ってもらったんでしょ?3兄弟

 だけじゃ無理よ、どうせ」


「なんだとー!」「俺達の力っすよ!」


「はっはっはっは、あー、3兄弟が仕留めたんだぞ?見

 事な連携だったな!」


「村長!」「だから言ったろ?」「やれんだ俺だって」


「はいはい、わかったわよ」


「はっは、さあ宴だ!みんな乾杯だーっ!」


(みんな楽しそうだ、ぼくも!)

「3兄弟にかんぱーい!」


『俺は戦士で村長なんて柄ではない』なんてノトは言ってたけど、みんなに慕われる様な事をしてきたノトは立派な村長だとぼくも思っている。


おざきです

貴重なお時間をわたしにいただき感謝します

お読みいただきありがとうございました♪

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