34話〜イエロ〜
「いやいやテルさん、ありがとうございます」
「いえ、ぼくもマルスさんに用事が出来まして、ご一緒出来て良かったです」
「おや? ご用とは何でしょうか?」
「はい、実は……」
ジャックさんと会ってから数日が経ち、今はぼくの車でマルスさんとフール村へと向かっている。
「そうですか、お会いになりましたのですね」
「はい」
「テルさん、申し訳ありません」
「はい? 何がですか?」
「村の事をジャック様に話してしまっていた事です」
「いえ、それでもマルスさんを信用してますので」
「テルさん……ありがとうございます」
「いえ、ジャックさんに頼まれた事お願いします」
「はい、それは勿論です!」
「そう言えば、ケイレブ公国は物騒だって言ってましたね? そんなにですか?」
「そうですね、ドワーフ王国の方と何かあった様でして、向こうの国境付近は帝国騎士団が大勢いるのです」
「そうなんですね」
「はい、ダンジョンからの荷物は全て止められてる様でした」
「そうですか」
「もう村が見えました、馬車よりもだいぶ速いのですね」
「はい、マルスさんの馬車もテツに頼みましょう」
「ありがたいです!」
マルスさんを村のテツのとこまで送ったところで、サクラさんのダンジョンへとぼくは向かった。目的は勿論、マントの魔族を見てもらう為にだ。
「テルさん! 戻って来たんですね!」
「うん、こっちは順調に進んでいるみたいだね」
「はい! 皆さんのおかげで順調です、これなら後1か月もかからないですよ!」
「さすがマサだよ! ところでサクラさんは家にいるのかな?」
「サクラさんですか? そうだと思いますよ?」
「ありがとう、行ってみるよ」
「はい! 僕はエリーちゃんの手伝いに行きますので」
城下町から来た職人達でギルド作りは順調の様だ、勿論マサの活躍があってこその事だけど。
「サクラさん!」
「テルか、城の用事とは何だったのじゃ?」
「それが……」
エルフィ城へ行ってからの数日間での出来事を、サクラさんに手短かに説明した。
「その魔族の者は、妾と同じようにその鞄の中におるのか?」
「うん、この人なんだけど……」
「其奴か……」
「やっぱり、サクラさんの知りあい?」
「……知らぬ」
「えっ?」
「顔は……見覚えある……かもしれぬ」
「……」
「妾の仇を討つと、テルと戦ってくれたのか……魔王城におった者なのであろう」
「そうだね……」
「テルは其奴を妾の知人であろうと連れて来てくれたのじゃな?」
「うん、それにサクラさんになら何の為にあんな事してたのか話してくれるかもと思って」
「仕方あるまい……其奴を起こせ、妾が話してみよう」
「ありがとうサクラさん、〈リリース〉! それじゃぼくは隠れてるよ」
「……」
マントの魔族は徐々に解凍されていく……解凍されても気を失ってるみたいだ。
「おい、起きよ! 起きぬか!」
「……」
「起きよ! 〈ヒール〉!」
「うっ、痛てて……ん?」
「起きたようじゃな?」
「えっ? ま、魔王様?」
「そうじゃ、妾じゃ」
「魔王様! ……って事は、俺もあの魔法使いに殺されたのですね? 申し訳ありません、仇を討てずに……」
「仇なぞよい、妾は生きておる……主もじゃ」
「魔王様生きてたんですか! それじゃ魔王様が俺を助けてくれたのですね? ありがとうございます!」
「妾ではない、が、主が無事で何よりじゃったな」
「はい、必ず役に立ってみせます!」
「そうじゃな、まず、妾の事はサクラと呼ぶのじゃ」
「はい! さ、サクラ様!」
「して、お主の名は? 何と申すのじゃ?」
「イエロです! サクラ様」
「そうであったな」
「サクラ様、今後は仲間を集め魔王城を奪還するのですか?」
「今後の話は後じゃ、その前に会わせる者がおる、テルよ出てくるのじゃ」
「サクラさん……」
「お、お前は魔法使い!」
「イエロよ、よさぬか!」
「サクラ様、しかし……」
「イエロは何故生きておる? 此奴は魔王城で瀕死の妾を隠し、人知れず保護しておったのだ、イエロもそうであろう?」
「そ、そんな……」
「イエロさん、ぼくに戦う気はありません」
「でも……サクラ様、その話……ほんとに……」
「妾もイエロも生きておる、それだけでは信じられんと申すのか?」
「……」
「イエロよ、テルが聞きたい事があると申しておる、答えてやってはくれぬか?」
マントの男イエロさんは、サクラさんに応じてくれるだろうか……。
おざきです
貴重なお時間をわたしにいただき感謝します
お読みいただきありがとうございました♪




