32話〜マントの男〜
「それでは行って参ります」
「うむ、レオンよ……ヒカルは無理するではないぞ?」
「えぇ父様、大丈夫ですわ」
エルフィ王……この光景、魔王討伐に向かう時を思い出すなぁ。
「テル、頼むぞ!」
「はい、エルフィ王」
「行くぞ、ヒカル! テル君!」
昨日は1日中、城を中心に城下町の警戒にあたったけど、何も起こる事はなかった。そしてケイレブ公を迎えに出発の時がきた。
「準備は整っているな? ポール」
「はい、レオン様」
「ヒカルは私と先頭を行くぞ、テル君は最後尾の車で頼むぞ」
「はい」
「テル君問題ないな?」
「はい、今のところ変わった事はないと思います」
「よし、それでは出発するぞ!」
「頼むわね、テル!」
「うん」
ケイレブ公の迎えには5台の車で向かっている。これなら片道1時間程で国境の橋まで行ける。ぼくは騎士団の人達と最後尾の車に乗って周囲を警戒していたが……何もなく順調に、間もなく橋へと到着する。
「道中は何もなかった様だな、どうだテル君?」
「はい、変わった事は何もなかったです」
「そうでしょうね、でも何か起こるなら、きっとこの後よ!」
「そうだな、テル君引き続き周囲の警戒を頼むぞ」
「はい」
「橋の向こうへ到着した様だ、ヒカル出迎えるぞ」
ヒカルとレオンさんは先頭でケイレブ公を迎えるみたいだ、ぼくは後ろで警戒していよう。橋の手前では警備兵が100人程かな? 警備に当たっているのに、向こうからは5人かな? 渡って来るのが見える。
(あの真ん中の人がケイレブ公だな)
馬車から降りてきたケイレブ公達をレオンが車へと案内している。ケイレブ公達を乗せた車はポールさんが運転するようだ。
「すぐに出発するわ、それじゃテルは予定通りに頼むわね!」
「うん、ぼくは自分の車で周囲の警戒にあたるよ」
先頭の車にレオンさんとヒカル、ケイレブ公達を乗せたポールさんはその後ろの車だな。車は揃って出発して行った、ぼくも行こう。
(順調だな、このまま城下町へ着きそうだ)
外町の東門が見えてきた、レオンさん達先頭はもう着いたみたいだ。ん? 北の方に誰かいる! 来る時にはいなかった。
(特に動きはない……レオンさんに報告しておこう)
「どうしたテル君?」
「レオンさん、北の方の木陰に誰か潜んでます」
「本当か? 俗なのか?」
「わかりませんが……こっちの様子を伺ってる事は間違いないと思います」
「そうか」
「レオンさん、そのままケイレブ公達を城まで案内続けてください、ぼくがここに残って警戒します」
「わかった、私達は何事もないように城へ向かう……すまない、任せるぞ!」
「はい!」
レオンさん達一行は街の中へと進んで行った。ぼくは1人門の外に残っている。木陰の者はまだぼくの方を伺ってるみたいだ。
(動きがない……ぼくの方から行ってみようか?)
向こうに動きはない、ぼくの方から向こうに……!?
出て来た! マント!
「現れると思っていたぞ! 魔法使い!」
「えっ?」
「魔王様の敵め!」
(きた!)“ガキィン”
「ぼくが狙いだったのか? 君はだ? ジャクソン君に呪術の魔石を持たせたのも君か?」“キィーンガキィン”
「そうだ! こんなとこにお前がいるとはな! お前を殺して魔王様の敵をとる!」“ガキキィン”
「魔王様だって?」
「あーそうだ! あの時の魔法使いめ! 俺を忘れたか?」“バサッ”
マントを取ったこの姿は!
「だ、誰だっけ?」
「魔王城にいただろ!? 俺を覚えてないのか!」
「ご、ごめん……」
「魔法使いめ……死ねー!」“ガキィン ガキキィーン”
マントを取った姿は魔族だった。けど……覚えてはいない。どうやら狙いはぼくだった様だ。
おざきです
貴重なお時間をわたしにいただき感謝します
お読みいただきありがとうございました♪




