23話〜覚悟〜
「どうしたのよ? そんな息切らして、忘れ物?」
「ハァハァハァ、解った」
「解ったって、もしかして?」
「うん! ハァハァ、解ったよ!」
「ダンジョンのある場所が解ったの?」
「ハァハァ、いやダンジョンなんてあるの?」
「なんなのよ! わたしが聞いてんのよ!」
「無い可能性の方が高い! だからダンジョンを作るんだよ!」
「何言ってんのか解ってるの?」
「ギルドでライリーさんが、ダンジョン探すより魔族を探すって話を聞いて」
「魔族を探す……それで魔族に作ってもらうって事?」
「そう! それ!」
「そんな……魔族は絶滅したって聞いてるわよ?」
「魔族ならいるよ! 1人だけ!」
「ほんとなの? その話……まさかフール村にいるなんて言わないわよね?」
「そのまさかだよ! ぼくの家にいる!」
「はぁっ!? 何言ってんのよ?」
「ぼくの家に秘密の地下室があるんだ、ノトにもテツにも秘密にしてる」
「あの家に!?」
「うん、そこに封印してあるんだ」
「魔族を?」
「今も仮死状態のまま封印してるんだ……魔王を!」
「なんて? 何を言ってんの? 魔王って言った?」
「うん、魔王だよ! あの日からずっと封印してる」
「だって魔王はあの時わたしが倒したって!」
「ごめん……ヒカルが相討ちで気絶した後、魔王は瀕死で息があったんだ」
「……」
「とどめを刺さなきゃと思って、魔王に乗り剣を構えた時、『頼むぞ』って」
「魔王が? テルに? 何を頼むって?」
「わからない……けど、嫌な……殺しちゃいけない、そんな気がしたんだ」
「あの後あそこに魔王はいなかったじゃない?」
「魔法で冷凍し、仮死状態にして鞄に封印した……」
「……」
「黙ってたのはごめん……」
「いいわ……テルはその魔王の封印を解いてダンジョンを作らせようって訳ね?」
「う、うん! 無理かな?」
「無理でしょ? なんで敵が協力してくれるのよ?」
「そうだよね……でもなんか……」
「行くわよ!」
「えっ!? どこに?」
「魔王のとこへ!」
「でも今……無理って」
「早く! わたしは少し考える事あるから運転して!」
ヒカルずっと黙ったままだな……考えが足りなかった……ダンジョン探し、ヒカルを喜ばせようと思ったんだけど……そうだよね……。
「おーヒカル、早速酒持ってきてくれたのか?」
「……」
「なんだ?」
「ごめんテツそれどころじゃなくて……」
「なんかあったのか?」
「訳は話せたら後で話す……ノトに村中厳戒態勢とって、ぼくの家に誰も近づけないように言ってくれる?」
「テル……真面目に言ってんだな? わかった、ちゃんと訳を話しに来いよ!」
「……」
(ごめんテツ……)
「地下室はどこなの? ほんとにあるんでしょうね?」
「そこ、キッチンの下……」
「えっ? 入れないじゃない?」
「〈アイテムバッグ〉」“シュッ”
「キッチンを収納って……便利ね、その鞄」
「うん」
「この階段の下ね、案内して!」
「ここ……」
「いないじゃない?」
「やっぱり魔王にとどめ刺すの?」
「嫌なの?」
「やっぱりそうだよね……」
「今考えられるだけ考えたわよ!」
「うん……」
「いーい! まずは……わたしがこうなったのって、魔王が生きてるからって事はないの?」
「えっ!? そ、そうか……ごめん」
「まったく! とりあえずそれはいいわ、そうとも限らないし」
「うん……ごめん」
「魔王の封印を解いた事を考えたの」
「うん」
「最悪どうなる? この世界の人類滅ぶかしら?」
「そうならないの?」
「魔王だって自分1人生きてたって仕方ないでしょ?」
「そうかも……」
「せいぜいこの世界を力で支配するとかその程度でしょ?」
「その程度って……まずくない?」
「帝国か魔王かの違いよ! 結局変わらない! とわたしは思ったの」
「……」
「まぁそうなった時はわたし達はここで死んでる前提ね」
「そうだね」
「それで済むなら起こしてみましょう」
「えっ!?」
「もちろん死ぬ気はないわよ? 弱ってるんでしょ? いざとなったらテル勝ちなさいよ」
「ぼくが?」
「それにもしかしたら上手くいくかもでしょ? 聞いてみたい事もあるし」
「それはぼくもある!」
「決まりね! でどこにいるの?」
「この鞄の中だよ」
「もう1つ鞄あったのね」
「持ち運ぶのは流石にどうかと思って」
「そうね」
「戦うかもしれないなら、ノトも連れてくる?」
「話がややこしくなるわ、わたし達だけでなんとかするわよ!」
「そうだね……そうしよう」“シュッ”
「わっ!? ちょっと急に出さないでよ! 驚いたわ……ほんとにあの時の……魔王ね」
「あっ! もう1つ」“シュッ”
「えっ!? それ!」
「うん、ヒカルの聖剣拾っておいたんだ、御守り代わりに一緒に封印してた、使う?」
「うん、これならわたしも戦えるわね!」
「ヒカルより聖剣の方が大きいけど大丈夫?」
「うるさいわね! この身体でも騎士団では兄様の次に強いのよ!」
「そうなの? やっぱりヒカルだね」
「当たり前でしょ? ほらやるわよ!」
「うん! わかった! それじゃやるよ!」
10年振りに鞄から出した氷の魔王。あの時と変わらない、やっぱり美人だ。もう考えるな! 覚悟を決めよう……。
おざきです
貴重なお時間をわたしにいただき感謝します
お読みいただきありがとうございました♪




