19話〜休息〜
「アメリアさんこんにちは、サミーさんいますか?」
「テルさん! 一昨日はお疲れ様でしたー! ちょっとお待ちを……ギルマスー! ギルマスーー! テルさん来ましたよー!」
「アメリア! お前少し落ち着いて業務しろって言ってんだろ? おーテル、こっちだ!」
「ギルマスには言われたくないんですけどー……」
(……)
「よー、テル! もう街に来たのか? こんな頻繁に来るならこっち住んだらどうだ?」
「それもいいね、でもやっぱり村に帰ると落ち着くんだ」
「そりゃそうか……もうヒカルんとこ行って来たのか?」
「これから行くとこ、先にこっち寄ってサミーさんにお礼しようと思って」
「今回サミーにはよく働いてもらったからな、2日寝てねーから昨日今日と休ませてんだ」
「ライリーさんギルマスになって優しくなりましたね」
「おー、依頼も少なくて暇だしな」
「……あっそうだ、これ! 村で作ってる服、魔法付与して防具として使えるようにしてあるんで……」
「いい服だな! いいのか?」
「はい、サミーさんに渡してください」
「俺のじゃねーのか! まー俺は身体が防具みたいなもんだしな」
「はははっ、それじゃお願いします」
あれから2日、ギルドは通常運転みたいだな。街も畑の収穫が始まったせいか、少し賑わいが戻りつつある様に感じる。
「来てくれたかテル君!」
「レオンさんこんにちは、その後体調どうですか?」
「もう見ての通りだ! おかげで生き返ったよ!」
「元気そうで良かったです! ヒカルは部屋ですか?」
「部屋にいるだろう、私が案内しよう」
「ありがとうございます、部屋で何か仕事ですか?」
「いや、私が腑抜けていた間無理させたみたいだからな、力が戻ったからには10歳のヒカルに無理はさせられんよ」
「そうですね」
「畑や卵の話も聞いたぞ! テル君には助けられてばかりだな」
「いえ、ヒカルの手伝いをしてるだけですよ」
「君は変わらんな、“ガチャ” 入るぞヒカル」
「兄様どうされまし……て、テルー!? ちょっといきなり入って来ないでよ!」
「おはようヒカル、可愛いパジャマだね! はははは」
「うるさーい! 出てけー!」“バタン”
「す、すまんなテル君……」
「い、いえ……そう言えばレオンさん、ジャクソン君はどうなるんですか?」
「……牢に入れてるんだが、食事も取らず黙ったままでな、聞かなくてはならない事もある、しばらく様子見だな」
「そうですか……」
「悪態でもついてくれたら、私も処刑しやすいんだがな」
「……」
「テル! 入っていいわよ!」
「それでは私は練兵場へ行かねばならない」
「はい、それでは……」“ガチャ”
「もう急に来るとびっくりするじゃないの! まったくもう」
「ははっ、ごめんごめん、女の子だもんね?」
「そうよ、気を使いなさいよ……って、あんたに女の子って言われるとなんかムカつくわね」
「えーっ!?」
「ま、いいわ……それよりあんた、1週間くらい休むんじゃなかったの? まだ2日よ?」
「うん、ジャクソン君が気になっちゃって……サミーさんにもお礼したかったし」
「あのガキンチョならまだ牢で呆けてるわ」
「うん、さっきレオンさんからも聞いたよ」
「あの調子じゃまだ時間かかりそうね」
「そっか……」
「はいっ! その話はとりあえず保留よ! それよりなんか面白い話ないの?」
「あるよ……」
「そうよね、テルにある訳……あるの!?」
「うん、ヒカル時間ある? フール村まで行く時間!」
「兄様が復活してくれたから、わたしは自由よ!」
「それじゃ今から行こう!」
「今から? そうね、丁度いいわ! もう1度あの村の畑見たかったのよね」
「うん、行こう」
ジャクソン君は話も出来ない様子みたいだ。レオンさんは調子良さそうで何よりだった。
「ほんとテルの鞄便利よね? 車まで持ち歩けるなんて、わたしにも作ってよ?」
「作るのに変異種クラスの魔石が必要なんだよ、それじゃ出発するよ」
「速っ! この車も欲しいんだけど! この前の変異種の魔石は使っちゃったの?」
「あの魔石でマサの鞄作ったんだよ」
「そう言えば持ってたわね」
「車なら作れると思うよ? マサまた新車作ってたし」
「ほんと? 頼んでみようかしら?」
「うん、丁度昨日テツとマサに頼んでた物が出来たから手空いてると思うよ」
「それじゃ頼もう! ねぇテル運転代わってよ?」
「えー? 出来る?」
「出来る? って何よ! 向こうの世界じゃわたしがいつも運転してたでしょ!?」
「そ、そうだったね」
「これハンドル操作だけでしょ? 簡単じゃない」
この世界に来る直前もヒカルの運転する車の助手席だった。あれから10数年、またヒカルの助手席でドライブ出来るなんて……
「やっぱ速いわねこの車! もう村が見えた!」
「でしょ?」
「うん、お尻も痛くなくていいわ! あっ! あそこが養鶏場ね?」
「うん、まだ村では卵は食べてるだけだけどね」
「とーちゃーくっ! ドライブ楽しかったわ!」
「テル今日は早いじゃねーか、王女も来たのか?」
「テツ久しぶりね、相変わらず飲んだくれてんの?」
「ほっとけ! ほんとにヒカルなんだな?」
「テルに聞いたんでしょ?」
「いやー、解っちゃいるけどよー、こんな嬢ちゃんに……笑っちまうよな、どわっはははは!」
「テツ……嫁さんにお酒飲ますわよ?」
「……すまなかった……でもよー」
「それよりテツ! あれは?」
「ん? おー、あれならノルんとこだ、今マサが一緒にやってるよ」
「ノルのとこ? わかった行ってくるよ、後でテツも来てよ、試食会するから!」
「あー、わかった、しかしあんなもん食って美味いのか?」
「楽しみにしててよ! ヒカル行こう」
「試食会? またパンケーキとか? パンケーキならもうお城でも食べれるようになったわよ」
「ヒカルがもっと好きだった物だよ」
「テルぅ、この人ぉ知ってるぅ」
「テルー! だれー? このおねぇちゃん?」
「テルさん! と王女様!? 2人共、この子は小さいけど偉い人なんだよ?」
「な、なんなの!? ちょっとこれ……」
「すいません王女様! この子達まだ王女とか解らないもので……」
「違う! そうじゃなくて! これって!」
「そう! 脱穀機だよ、マサとテツに作ってもらったんだ、ほらお米!」
「おねぇちゃん食べるー? 硬くて美味しくないよーだけど?」
「ほんとにお米だ!」
そう、やっと出来たお米。ヒカルにならこの感動を解ってくれるはず……
おざきです
貴重なお時間をわたしにいただき感謝します
お読みいただきありがとうございました♪




