1話〜フール村①「家族」〜
「テルぅ、コッカトリス2羽いるよぉ?」
「大丈夫だよ《ノノ》、ぼくに任せて」
「いつもの作戦でいくってことぉ?」
「そうだね《ミト》、いける?」
「おっけぇ!いつものやってぇ」
「〈スピード〉、コッコも30羽はいるよ、2人共気をつけて!無理はしないでよ?」
「おっけぇ!」「はぁい!」
「行くよ!」“タタタッ”
「〈アースウォール〉!」“ズドッドドドドッドン”
(よし、コッコ達との分断は成功かな)
[コカーーッ、コッカー!]“バサッ”
(2人の方へは行かさない!)“グッッビューン”
「コッカくん、きみの相手はぼくだよ!」“ドカッ”
“ドカガッ”“バキッ”[コカーーッ]“ドドッ”“ズダン”
「テルぅ!たいへんっ、ミトがぁ!」
「ミトが?!ミトー!」“ズダッ”
「ノノゆうなよ?…大丈夫テル!任務完了したよぉ!」
(ん?ほんとに大丈夫なのかな?)
「わかった!それじゃ全力で!」
「逃げるよーー!」「〈アースウォール〉」“スドド”
「おっけぇ」“スタタタッッ”
「はぁい、にげるぅ」“トッタッタッタッ”
(よし、ここまで来たら大丈夫だ)
「2人共もうゆっくりでいいよ!歩いて帰ろう」
「ハッハァッ、つかれたぁ」「ハァ、ノノもぉ」
「ミト大丈夫なの?どっかやられた?」
(見た感じは…獣人族の特徴のケモ耳とフサフサの尻尾
に癒されるなぁ…じゃなくて、怪我とかはなさそうだ
な?)“ツンッツンッ”(ん?)
「あのねぇ、ミト卵ぉ1つ割ったんだよぉ」
「ノノ!ゆうなって言っただろ?」
「ノノが『たいへん』って言ったのは、そのこと?」
「そぉ」「ごめんなさい…」
「ハハっ、よかった、そのくらいの失敗はいっぱいして
いいんだよ?割れた卵はぼくの分にするからいいよ」
「そぉなのぉ?ノノもがんばるぅ」
「頑張ってすることじゃないからね?うまく出来た方が
パパもママも褒めてくれるよ」
(!村が見えてきた)
《フール村》ぼくが暮らしている村だ。山奥の森の中、綺麗な川沿いを切り拓いて作ったんだ。人口は50人程。ぼく以外はドワーフの3人家族がいる以外はみんな獣人だ。村が出来て9年、つまり、ぼくは9年ここで暮らしている。
「ぱぱぁ、任務かんりょおぉ」
(ノノはほんと《ノル》のことが好きだな、ノルたちも
畑の収穫終わったみたいだな)
「ノノよくがんばったね、ミトもテルさんの手伝い上手
くできたかい?」
「うん、少ししっぱいしたけどねぇ」
「そうか、ノノもミトもえらいぞー」“ナデナデワサワサ”
(うーん、ぼくも一緒にモフモフしたかったなぁ)
「テルさんご苦労さま、うちの子達を連れてくと大変で
しょ?いつも面倒みてもらってありがとね」
「いえいえ、2人共すごいですよ!一緒だとぼくも捗る
し助かってますよ」
(《ミミ》さんみたいな綺麗な奥さんをもつノルがうら
やましいな)
「ちょっとあんた!いつまでも子供達を甘やかしてない
で、テルさんに礼言って朝食の支度して!」
(…やっぱり、うらやましくないかも…)
「!はいっ」“タタタタタタッ”
「テルさんノノとミトみてもらってありがとね、朝食用
意するから一緒にどう?」
「ありがと、おじゃまするよ」
「ミト、ノノ、朝食出来るまで、じぃじのとこに野菜届
けてきて!」
「それならぼくが行きますよ、卵もあるし〈アイテムバ
ッグ〉がありますから」
「おねがい出来る?」
「えー、行ってきます」
村に入るとすぐ畑があり、その隣にぼくの家とノル家族の家が並んでる。ノルと奥さんのミミ、双子の兄ミトと妹ノノの4人家族とぼくは、親戚のような付き合いだ。
(おっ今日も朝からやってるな、《ノト》の槍術は相変
わらずすごい威力だな)
「村長おはよう!」
「!テルか、その『村長』と呼ぶのはやめろ、テルに言
われるとむず痒いわ」
「アハハっ、そうだね」
「そうそう、野菜と卵を持ってきたんだけど、《リリ》
に渡しておくよ?」
「ミミに遣われたのか?まったく、すまんな」
「そんなことないよ、ハハっ」
(ミミさんノトにも容赦ないんだな)
「リリおはよう、〈アイテムバッグ〉はいっこれ野菜と
卵…!、いい匂いするね」
「おはよう、ありがと!パン焼いてたからね、テルも食
べていく?」
「ありがとう、でもノルが用意してくれてるから遠慮す
るよ」
「じゃみんなの分持ってって!その鞄なら焼き立てのま
ま届くしね!あの子たちにも食べさせて」
「うん、じゃそうするよ!いただきます」
ノトとリリも最初は今のノルの家で一緒に暮らしていたのだけど、村に住人が増えたことで村長となり、村の中心地に住むことにした。とは言っても、歩いて5分程の距離なんだけど。
「テルぅ朝ご飯できるよぉ」
(!ノノ迎えに来てくれたのか)
「うん、それじゃ急いで戻らなきゃね!リリから焼き立
てのパンも貰ってきたよ」
「ばぁばのパン好きぃ!」
「うん、でも『ばぁば』より、『リリ』って呼んだ方が
喜ぶよ?!」
(『まだ婆さんじゃない』ってこのまえ怒ってたしね)
「わかったぁ、ばぁばをよろこばせるぅ」
「……そうだね」
10年前ヒカルと別れ、ほどない頃から10年近くを一緒に過ごしてきたノトは兄弟の様な存在であり、その家族もまたぼくの親戚の様な存在になっている。
おざきです
貴重なお時間をわたしにいただき感謝します
お読みいただきありがとうございました♪