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11話〜平和ではなかった世界〜

「……ほ、本当にヒカルなんだよね?」


「しつこいわよ! そうだって言ってんのよ!」


「しゃべり方まで女の子みたいだから……なんか」


「10年女の子やってのよ?! 仕方ないでしょ!」


「………」


「なんか言いなさいよ!」


「あっ、ごめん」


「もぉ! まぁいいわ、信じてくれる気にはなった?」


「……うん、なんて言うかまだ実感わかないけど大丈夫、信じてるよ」


「とりあえず……サンキュね、テル!」


「! う、うん」


10年前に別れ、元の世界へ帰ったと思っていたヒカルはこの世界に王女として転生していた。確かにぼくにしか信じられない事だろう。


「それにしてもテル、あなたこの国にいたのね?」


「うん、別れてからわりとすぐからね」


「てっきり帝国にいるとばかり思ってたわ」


「えっ……帝国? どこ?」


「? 帝国よ?」


「……そんな国あったっけ?」


「えっ? テル……今まで何をしてたの? あなた」


「うん………………て感じに」


「それじゃ知らなくても……って! それにしても知らな過ぎよ? 今ではこの世界の7割は帝国領なのよ?」


「えぇっ? もしかしてここも?」


「この国はわたしの父、《エルフィ》の治める王国よ、違うわ」


「そうなのか……」


「いーいテル、今世界は………」


魔王討伐後、魔王のいなくなった魔王城を中心に新しい国が起こる。反発した周辺国は武力をもって制圧され植民地化されて行く。


「って訳なの、わかった?」


「うん、それで世界の7割も制圧されたって事?」


「いいえ、その時点ではまだ世界の3割程度よ、続きがあるの………」


その後、生き残りの魔族によって作られたダンジョンがいくつか発見される。そこは、魔獣や鉱石など資源豊富であり、帝国軍によってすぐに独占される。


「……うん」


「ここまで理解出来てる?」


「たぶん……なんとか?」


「……いいわ、続けるわね」


ダンジョンによって資金、物資と潤い続ける帝国。一方では、ダンジョン以外では魔獣は年々と減り続け、植物の実りは悪くなり続けている。


「ある国では、資金に底をつき自ら植民地になったり」


「うん」


「ある国では、貴族達が帝国と組み謀反を起こさせて国を帝国傘下へ降らせたり」


「そうなのか」


「そんな訳なのよ! わかる?」


「うん、わかったよ」


「わかっってなーいっ!」


「?! えぇっ?」


「いーい?! この国だって他人事じゃないの!」


「う、うん……まぁでも、帝国のおかげでみんな潤うならいい事なんじゃないの?」


「あのねーっ、それで潤ってるのは帝国貴族達だけ! そこに生きる多くの人達は虐げられてるの!」


「はい……ごめん」


「もーっ、わかった?」


「わかりました」


「魔王討伐しても平和になってないの、だからわたしは元の世界に帰れなかった……」


「!……」


「だからテル、もう1度わたしを手伝って!」


「えっ!……帝国と戦うってこと?」


「わからない……でも、戦うにしても、戦わないにしても、まずここを豊な国にしないと……今はその選択すら出来ないの」


「……」


「お願いテル! 力をかして!」


「うん、ぼくに出来る事なら手伝うよ……で、ぼくは何をしたらいいの?」


「テルに頼みたい事なんだけど……その前に確認したい事があるの」


「う、うん?……なにを?」


「……昨日見たあなた達の村……建物も食べ物も、この城より豊な暮らしぶりだった」


「そうなの?」


「そうよ! もしかして、あの村の近くにはダンジョンがあるんじゃないの?」


「えっ? ないけど」


「! ほんとにないの? ほんとーに?」


「うん、ないよ!」


「そうなのね……この世界に来て、昨日初めて卵を食べたの、焼き立てのパンに新鮮な野菜、フルーツまで! ダンジョン無しでも毎日あの食事が出来るの?」


「50人ほどの小さな村だからね」


「畑なんかを見たわ、50人でも毎日食べれる規模とは思えなかった……」


「あぁ、そういう事か!」


「とうゆうこと?」


「ぼくの作った畑はだいたい3日で実るんだよ、1日で育つ野菜なんかもあるよ」


「?! そんな事が出来るの?」


「うん」


「……わかったわ、お腹空いたわね、少し休憩にしましょ」


「それなら! 朝作って来たんだ、一緒に食べよう!」


「えっ?! な、なにこれ……パンケーキ?!」


「うん! ヒカル好きだったよね! メープルシロップあるよ」


「メープルシロップまで?!」


「うん、食べよ!」


「………」


ヒカルの話を聞いたぼくは、元の世界に帰れなかった理由にも納得できた。世界の平和は『魔王を倒す』って言ったのもぼくだ。責任は感じている。


「どう? 村のパンケーキ?」


「お〜いし〜♪ うまうま♪ あまあま♪」


「ヒカル女の子になったんだね」


「!……うるさいわね」


「怒っても可愛いね!」


「テル……変な気起こさないでよね?」


「?! なっ、そんな気ある訳ないだろ?!」


「ならいいんだけどね……」


「そ、そんな事より……そう言えば帝国の王様ってどんな人なの?」


「……わたしの兄様よ、マッド帝王」


「! マッドさんが、それじゃレオンさんも帝国に?」


「レオン兄様はこの国にいるわ、戦う力を失って引き篭もってるの……」


「ごめん……と、とにかくぼくは何したらいいかな?」


「……この内町の外れに孤児院があるの、知ってる?」


「ごめん……知らない」


「その孤児院ね、わたしの支援で成り立ってたの」


「そうなんだね……」


「もう国には資金も物資も余裕がないの、わたしに代わって孤児院の支援をして欲しいの!」


ぼくとヒカルを育ててくれたのも孤児院だった。ヒカルの孤児院を放っておけない気持ち、ぼくにもわかる。世界を平和に、この国を豊な国への第1歩。






おざきです

貴重なお時間をわたしにいただき感謝します

お読みいただきありがとうございました♪

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