9話〜森での出会い〜
「テツー!」“タッタッ”
「おーテル、手伝いに来たのか?」
「ごめん、ぼくはコッコ達の様子を見に行くとこ」
「そうか、こっちは手も足りてる心配すんな」
「うん、よろしく!」
(こっちは問題なさそうだな、さて行こう)
昨日ふと思い付いた養鶏計画。それがもう形になろうと動き出している。新しい取り組みへの村の期待が伝わってくる。
「ぼくもがんばろ!」
(あれは? 3兄弟見廻りかな!)
「テルさん!」「おつかれっす!」「見廻りですか?」
「みんなありがとう、問題ない?」
「大丈夫!」「ないっす!」「任せてください!」
「問題なさそうだね、頼りにしてるよ!」
「はいーっ!」
(さてと、実際何羽いるんだろ? 数えておこう)
「1、2、3、4、………28」
(まだ上の方にもいるな)
「29、30、31………47」
(まだ見えないのもあわせたら50羽以上か、思ってた以上にいるんだなぁ)
「テル来てたのか」
「うん、ノトも見廻り? ありがとう」
「初日から3兄弟だけにやらす訳にはいかないからな」
「そうだよね、…ここからだと結構遠くまでよく見えるね」
「ん? そうだな」
「そういえば、あっちの丘の先はもう他国なんだっけ?」
「そうだ、とはいえ人里なんかはないがな」
(そういえばこの先って行った事ないな)
「ちょっとこの先も見てまわってくるよ」
「なにかあるのか?」
「この先にもこんなコッコの群れみたいのいないか探してみる」
「そうか、先に帰るが1人で平気か?」
「うん、大丈夫だよ!それじゃ行ってくる」
(あの丘まで走って1時間で行けそうだな)
“タッタッタッタッ”
“タッタッタッ”(ん? 〈サーチ〉…あれは)
「ラージラビットだ!」
“タタタタタッザッ”(2匹いる!)
「せやーっ!」“キンッザシュッ”(1匹逃げた!)
「〈ウィンドエッジ〉!」“シュッシュッ……スパパッ”
「よしっ!」(おもわぬ収穫だ)
「あの丘までもうすぐだな」“タッタッタッ”
“タタタタタタッ”「着いた!」
「わー、いい景色だなぁ」
(この先は崖になってたのか、ん? 遠くに……あれは町かな? 昔あんなとこに町なんかあったかな?)
ヒカルと一緒にこの世界に来た時、最初に転移して来た場所がこの隣の国だった。その頃あのような町は記憶にない。
(遅くなっちゃうな、コッコの群れみたいのは他になかったし、村にもどるか)
「少しまわり道して帰ろう」
“タッタ…キュッー”「えーっ!」
(ほんとに? もしかして!)
“タタタタタタッ”(やっぱり!)「稲だ!」
(この世界にはないと思ってた!)
“ザクッザクッ”「ふーっ」
(とりあえず鞄に入れて持ち帰ろう、養鶏が落ち着いたら稲作だな)
“タッタッタッタ”(今日はいい収穫だったな、そろそろ村が見える頃……ん?)
“タタタタ”(ん? 馬車? 貴族かな? こんな何もないとこに?……)
“タッタッ”「こんにちは、故障ですか?」
「こんにちは、えぇどうやら車軸が壊れましたようで……失礼ですが冒険者の方でしょうか?」
(? 村があると知って来た訳じゃないのかな?)
「はい、この国のギルドで一応」
「そうですか、馬車もこの有り様でして、この辺りに休める様な所をご存知ありませんでしょうか?」
「……いえ、すいません」
「そうですか……」
(場所の中にもう1人…)
「お1人でってことはないで…」“バーァン”
「やっと逢えましたわ!」“バッ”
(? えっ少女?)「はいっ?」
「賢者テル、やっと逢えました!」
(? ? ? えっ?)
「……この方が?」
「えぇそうよ!」
「そうでございましたか失礼いたしました」
「えっ? いえ……」
「私は王室に仕えております《ポール》と申します」
「はい…えっ?」
「此方はエルフィ王第3子王女様です」
「はい……えぇっ?!」
「賢者テル、あなたを捜してたの!」
「はい……えっ? な、なんのご用でしょうか??」
「ライリーに聞いてきたの、この辺りの村に住んでいるって!」
(ライリーさん? 確か変異種、国から依頼って言ってたな)
「……わかりました、村へ案内します」
「よろしいのでしょうか?」
「はい、もう近くなので馬を引いて歩きましょう、馬車も村で直せると思うので」
「〈アイテムバッグ〉」“シュゥッ”
「?! その鞄は?」
「魔法の鞄なんです、ちゃんと取り出せるので心配しないでください」
「……」
「王女様は馬に乗りますか?」
「平気よ!歩いてくわ」
「……行きましょう、こっちです」
(ほんとに王女なのかな? て事はレオンさんの妹?)
以前ヒカルと訪れた時、王妃様は懐妊中だった。そしてヒカルと別れたあと訪れた際には無事産まれていた。
(あの時産まれた子なら10歳、このくらいの子だな…)
「こ、これは……」
「この村……テル、あなたが作ったの?」
「いえ、村のみんなで作ったんです」
「おうまぁ、知らない人ぉ?」
「ノノ?! えっとノトを呼んできてくれるかい?」
「はぁい」
「おーテル、おせーと思ったら客か?」
「テツ、それがこの人たち…」「テツフルっ?!」
(? えっ?)
「? 誰だお嬢ちゃんは?」
「テツ様! まさかほんとに?」
「なんだ……? ポール、ポールか?」
「やはりテツ様なのですね? お久しい!」
「ポール……まさかっ!おめー!」
「! いえテツ様、ドワーフ王とは関係ございません」
「……ほんとだろーな?」
「はい」
「本当よ! テルに会いに来たの、あなたがここにいる事は知らなかったわ」
「……そうか、ならいー」
「と、とりあえずぼくの家でいいかな? 村には宿も食堂も何もないので……」
「ありがとう、お願いしますわ」
(ほんとに王女様みたいだな……ぼくに用ってなんなんだろう?)
村での養鶏計画の準備をしていたはずが、王女様との出会いに。今日、長い1日はまだ終わらない。
おざきです
貴重なお時間をわたしにいただき感謝します
お読みいただきありがとうございました♪




